日立製作所/3テスラ超電導MRIシステム「TRILLIUM OVAL Cattleya」を発売
日立製作所ヘルスケアビジネスユニット(以下、日立)は、磁場強度3テスラ超電導MRIシステムの新バージョン「TRILLIUM OVAL Cattleya」*1(トリリアム オーバル カトレア)を1月9日から販売開始する。
本製品は、日立独自の楕円形状のワイドボアや4ch-4port(4チャネル・4接続点)の独立制御可能なRF照射システムなどが特徴の3テスラ超電導MRIシステム「TRILLIUM OVAL」に、鉄濃度などで変化する組織間の磁化率の差を画像に反映させるQSM (Quantitative Susceptibility Mapping)機能などを新たに搭載している。
*1「TRILLIUM OVAL Cattleya」は「TRILLIUM OVAL」の新しいシステムソフトウェアバージョンを搭載したモデルの呼称。
日立は2013年4月から3テスラ超電導MRIシステム「TRILLIUM OVAL」を販売している。1.5テスラ超電導MRIシステム「ECHELON OVAL(エシェロン オーバル)」で好評であった広い検査空間により被検者や操作者に快適な検査空間を提供する楕円形状のワイドボアはそのままに、磁場強度を3テスラにすることで撮像時間の短縮や高画質化を実現した。
「TRILLIUM OVAL Cattleya」は、「クオリティ」「スピード」「コンフォート」をコンセプトとしており、診断に最も重要な高画質を実現しながら、検査環境の改善や臨床研究を支援するQSMなどのアプリケーションを搭載することで、一般臨床だけでなく研究用途にも対応できる超電導MRIシステムとなっている。
製品の特長
1. 快適な検査空間を提供する楕円形状のガントリボア
日立独自のOVAL(楕円)形状のガントリボアにより被検者に快適な検査空間を提供する。本製品は体格の大きな被検者や、狭い所を苦手とする被検者をサポートする横幅74cmの楕円形状のガントリボアを採用している。これにより、これまで撮像が困難であった肩関節などの部位も、幅63cmのワイドな寝台上で被検者を横に移動することで撮像が可能。
2. 4チャネル独立RF照射コイルにより安定した画質を提供
一般的に3テスラなど高い磁場強度のMRIシステムは周波数の高いRF波を使用するため、体幹部などの広い領域では、RF照射が不均一になりやすい性質があった。そこで、4ch-4portの独立制御可能なRF照射システムにより、照射均一性を向上した。検査時に各チャネルのRF照射の状態を確認する高速な専用シーケンスで、RF照射不均一を低減するように最適に4チャネルを独立制御し、ムラの少ない画像を提供。
3. 一連の腹部造影検査をサポートするLiverDrive
肝臓や乳房のMRI検査では、RF照射の不均一の影響に伴い、脂肪成分を低信号として描出し鮮明な画像を取得する脂肪抑制法の不良による画質劣化の問題があった。改良型脂肪抑制パルスH-Sinc(エイチジンク)と、4ch-4portの独立制御可能なRF照射システムを併用する高速脂肪抑制シーケンスTIGRE(タイガー)で撮像することで、脂肪抑制効果が高い画像を提供する。さらに、肝臓造影検査時の肝細胞相の撮像においてTIGREと横隔膜同期を組み合わせるLiverDrive(リバードライブ)により、呼吸や体動による画質の低下を防ぎ、自然呼吸下で高分解能の検査画像を得ることができる。
4. 組織間の磁化率の差を画像に反映させるQSM機能
生体組織の磁化率は、鉄沈着や脱髄変性では上昇し、石灰化では下降することが報告されている。磁化率の差を抽出して磁化率マップを算出し画像化するQSM機能を新たに搭載した。一般的にアルツハイマー型認知症では、鉄の沈着による脳の特定領域での磁化率変化が報告されていることから、認知症の早期診断法として磁化率画像を活用することが期待されている。
問い合わせ先=日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット グローバルビジネス統括本部
TEL:03-6284-3100