日立製作所/胃部集団検診X線システム
日立製作所は、検診車に搭載可能な胃部集団検診X線システム「ESPACIO AVANT(エスパシオ アバント)」を、日本国内で発売した。
同製品は、X線検出器であるFPD(Flat Panel Detector)を車載用X線システムに採用するとともに、据置型のX線システムに搭載される高性能な画像処理エンジンを採用することで、高画質化を実現することにより診断の質の向上に貢献する。また、従来システム(CLAVIS MOBILE ESPACIO)と比較して、遠隔操作卓を約20%小型化し、X線高電圧装置の高さを約40%低くしたことで、検診車内をより広く使用することが可能になるX線システムである。
<特長>
▽胃部集団検診X線システムの検出器として、FPDを採用。従来システムは、X線検出器にI.I.(イメージインテンシファイア)を使用していたが、I.I.は真空管のため、透視撮影画像が円形となり画像周辺部にゆがみが生じてしまうため、診断が難しい場合があった。今回採用したFPDによる透視撮影画像は、四角形で周辺部もゆがみの少ない画像を描出することができるため、明瞭なX線画像を作成することができる。また、FPDを採用したことにより、透視撮影台の下部スペースがコンパクトになり、形状もラウンドフォルムにしたことで検診車内において被検者が感じる視覚的な圧迫感を軽減し、より快適な検査環境を提供する
▽遠隔操作卓の体積を、同社従来システムと比較して約20%小型化を実現。さらに、X線高電圧装置の高さを150cmから88.8cmと低くしたことにより、検診車内のレイアウトの自由度も高まる
▽X線条件を設定する操作パネルに、タッチパネルとダイヤルを採用。タッチパネルで直観的な操作が可能となるだけでなく、管電圧や撮影時間など細かい数字などの条件設定をダイヤルで素早く行うことができるため、操作者の負担を軽減し短時間に多くの被検者を検査する集団検診をサポートする
▽胃を含む上部消化管検査では、造影剤のバリウムを内壁全体に付着させて撮影を行うが、透視撮影する上部消化管の角度や位置を調整(位置決め)する必要がある。同システムでは、同社独自の天板回転法により、回転中心を被検者の体軸付近に保ちながら天板全体を左右に回転(ローリング)することができる。また、映像機器(FPD)が天板に対し左右前後に移動するため、素早く位置決めを行うことが可能。これらにより、上部消化管検査(検診)が迅速に行えることから、被検者の負担を低減する
▽施設内で使用する据置型のX線システムに搭載していた同社独自の画像処理エンジン「FAiCE-V NEXT STAGE1+(フェイス ブイ ネクストステージ ワン プラス)を採用。この画像処理エンジンは、動き追従型ノイズ除去技術「MTNR(Motion Tracking Noise Reduction)」、マルチDRC処理「M-DRC(Multi Dynamic Range Compression)」などで構成されていることにより、車載システムで据置型と同等の高画質の検診・検査を実現する
※問い合わせ先=日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット マーケティング本部 TEL 03・6284・3100