島津製作所/走査電子顕微鏡「SUPERSCAN SS-3000」3機種を発売(25.4.21)
島津製作所は4月21日に走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEM)、「SUPERSCAN SS-3000」3機種を日本国内で発売した。
業務提携を結ぶ、走査電子顕微鏡メーカーであるチェコ共和国のTESCAN社との共同ブランド「Shimadzu by TESCAN」の新機種である。「SUPERSCAN SS-4000」が持つ基本光学系や機能を踏襲しつつ、ビーム減速機構を標準で備えた機種となる。「SS-3000」は材料の物性評価を含めた幅広い研究開発用途に適している。同社は日本語対応のソフトウェアやマニュアルを整備して、分析・操作から保守・点検・修理などのアフターサービスまでトータルでのサポートを提供する。
電子顕微鏡はナノ領域の表面観察が可能な、科学技術の研究で必須の装置。「電子線を試料に照射し、試料から発生する二次電子や反射電子を検出して表面の形状や組成の違いを観察」という原理のため、従来は帯電しやすい(非導電性)試料の観察が困難であったが、「SUPERSCAN SS」シリーズは、帯電を抑制できる低加速での観察が可能で、セラミックや樹脂など非導電性試料に対して最適な解像度とコントラストの画像が得られる。また、観察時の電圧・電流変更におけるビーム特性変化により生じる画像の明るさやフォーカス、観察中心位置のズレが自動調整されるため業務効率が向上する。同シリーズは、元素分析、電子後方散乱回折、化合物分析、化学結合種分析など約20種類の分析オプションに対応できる拡張性と、専用ソフトウェア「Essense」による高い操作性を実現している。島津製作所は、「Shimadzu by TESCAN」を通じて、様々な研究開発向けに付加価値の高いソリューションを提供していく。
新製品の特長
1. 独自の光学系による高分解能観察
最上位機種「SS-4000」のベースとなる独自の光学系により、非導電性材料やビームに弱い材料に対して前処理なく微細な観察が可能。専用ソフトウェアの光学系制御により、電圧・電流変更によって生じる画像の明るさやフォーカス、観察位置のズレを自動調整するIn Flight Beam Tracingにより分析ワークフローを削減できる。
2. 低真空でクリアな画像を実現
非導電性試料を観察するには帯電によるチャージアップ現象の防止のために低真空状態が必要である。本製品では1~700Paまでの低真空範囲に対応可能。一般的なSEMでは低真空において窒素ガスを用いるが、本製品では信号増幅率の大きい水蒸気雰囲気による独自の検出システムを採用しているため、低真空での高感度観察に有効である。
3. 豊富な分析オプションと高い操作性
元素分析、結晶方位解析、化合物分析、化学結合種分析など約20種類の分析オプションに対応可能。また、元素分析など専用のソフトウェア「Essence」によって統合されたシステムにより高いユーザビリティを実現している。
問い合わせ=島津製作所 コーポレート・コミュニケーション部 広報グループ
TEL: 075-823-1110