富士フイルム/AI技術を用いて医師の読影業務の効率化を支援 AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer Ver2.5」提供開始(24.8.30)

富士フイルム/AI技術を用いて医師の読影業務の効率化を支援 AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer Ver2.5」提供開始(24.8.30)

富士フイルム(本社:東京都港区)は、医師の画像診断ワークフローを支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」の新バージョン「SYNAPSE SAI viewer Ver2.5」を、富士フイルムメディカル(本社:東京都港区)を通じて8月30日より提供開始する。
今回提供を開始するVer2.5では、各椎体の高さを自動計測して椎体を分類表示する「椎体高さ自動計測機能」を搭載した。また、周辺組織と比較して高吸収/低吸収な領域を強調表示する機能「SAIフィルタ」の対象臓器を拡大。さらに、Ver2.4で提供を開始した、大動脈瘤の長径・短径を簡便に計測できる「大動脈ビュー」への比較観察機能の追加など、医師の読影業務効率化が期待できる機能を強化した。

放射線科向け読影ビューワ「SYNAPSE SAI viewer」は、AI技術を用いて医師の診断精度向上と読影業務の効率化を図るビューワとして、2019年に発売した。発売当初より肺結節検出プログラム等の胸部向け読影支援機能を搭載してきたが、2021年に提供を開始したVer2.1以降、画像解析機能の対象部位を胸部から頭部、腹部領域へ拡大し、2024年7月時点では650以上の施設が導入している。「SYNAPSE SAI viewer Ver2.5」で追加した主な機能は以下の通りである。

(1)椎体高さ自動計測機能の搭載

椎体骨折は、主に骨粗鬆症により脆くなった背骨が押しつぶされるように変形することで起こる。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)」では、原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準の第一基準として「脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折または椎体骨折)の有無」が定められており、脆弱性骨折の発見の重要性が高まっている。今回リリースする「椎体高さ自動計測機能」は、同社の臓器認識技術を活用して、CT画像から、各椎体の前方/中央/後方の高さを自動計測する。その計測結果に基づき、「椎体の高さの前方/中央/後方の比率」、「上下椎体との高さの比率」を算出し、ユーザーが設定した閾値未満の椎体を強調して表示することで、矢状断面(サジタル断面)での観察を行わない場合でも、体軸断面(アキシャル断面)の画像上で医師に気付きを与えることが期待される。

(2)甲状腺SAIフィルタの搭載

肺結節CAD、縦隔/腋窩リンパ節抽出に続く胸部読影支援機能として、甲状腺の画像診断を支援する機能「甲状腺SAIフィルタ」を提供する。この機能は、造影/非造影CT画像から、甲状腺領域において周辺組織と比較して高吸収/低吸収な領域を強調表示する。甲状腺は偶発所見の発生頻度が高い臓器のため、本機能により、甲状腺腫瘍や甲状腺腫大の診断支援に繋がることが期待される。また、強調表示した領域に対して、「長径」などの計測値を自動表示するため、手動作業による医師間のばらつきを軽減し、定量性の向上が期待される。所見文候補作成機能と合わせることで、計測値を自動入力でき、所見レポート作成の負荷を軽減する。

(3)腎臓SAIフィルタの強化、胆嚢SAIフィルタの搭載

腎結石や胆石は多くの場合無症状ですが、放置しておくと腎盂腎炎や膀胱炎、胆嚢炎を引き起こす可能性があると言われている。そのため、腎結石や胆石を早期に発見し微小の段階で排出すること、また、生活習慣の改善により再発を防止することが重要である。今回、腎臓領域において、周辺組織と比較して高吸収/低吸収な領域を強調表示する「腎臓SAIフィルタ」を強化した。非造影CT画像の強調表示領域を、ユーザーが設定した閾値によって分類表示することで、石灰化などに代表されるCT値の高い領域を強調表示することが可能になった。また、新たに「胆嚢SAIフィルタ」をリリースし、非造影CT画像から、胆嚢領域において、周辺組織と比較して高吸収/低吸収な領域を強調表示することを可能にした。これらの機能により、腎結石、胆石の診断支援に繋がることが期待される。さらに、所見文候補作成機能と合わせることで、関心領域の場所や大きさなどの計測値を自動入力でき、所見レポート作成の負荷を軽減する。なお、腹部領域では以下の臓器でSAIフィルタが利用可能となる。

腹部領域のSAIフィルタ対応臓器一覧表

(4)大動脈ビューの強化

「2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン」で、大動脈瘤の計測を行う際には、大動脈長軸に直交する断面像において、長径と短径を計測することが示された。同社は、2024年4月1日にVer2.4で「大動脈ビュー」をリリースし、大動脈の中心線に直交する断面で瘤径を計測するCenter line法に基づき、大動脈瘤の長径・短径を簡便に計測する機能を提供している。今回、「大動脈ビュー」を強化し、胸腹部大動脈の比較表示機能を追加した。比較表示時には、ビューワ内に現在検査、過去検査それぞれの直交断面/VR/CPRの3断面を並べて表示する。計測値を基に自動で位置合わせを行うため、大動脈瘤のフォローアップ読影時に、瘤径の経時変化を確認する場面での再現性や業務の効率化が期待できる。

富士フイルムは、AI技術ブランド「REiLI」のもと、AI技術の医療における活用の幅を広げることで、医療画像診断支援、術前シミュレーションの支援、医療現場のワークフロー支援などに取り組んでいく。

 

問い合わせ=富士フイルムメディカル マーケティング部

E-mail:shm-fms-hansoku@fujifilm.com

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