地域医療福祉情報連携協議会/ビッグデータ・AIと情報連携の可能性、実効性を説く

 地域医療福祉情報連携協議会は、2月9日、オンラインで「第21回地域医療福祉情報連携フォーラム」を開催した。なお、同フォーラムは、田中博氏(東京医科歯科大名誉教授)の協議会会長退任記念になっている。
 プログラムは、田中 博氏と田中公章大井田病院院長の講演で構成。
 冒頭、4月に次期会長に就任する松村泰志氏(大阪医療センター院長)が挨拶し、次のように述べた。「地域医療福祉連携を進めるためには失敗も含めて経験が重要だ。連携システムは臨床面での利便性だけでなく、研究、薬剤、機器の開発にも有用である。同インフラ構築の遅れは、日本が立ち遅れることでもある」
 田中氏は「次世代生命情報医学—医療DXの現状と将来」を演題に講演。「ビッグデータとAIは根本的革命性を持ち、第1次の抗生物質、第2次の分子標的薬・抗体医薬の登場に次ぐ、医療の第3次革命を起こしている。その基軸はデータ駆動型医学だ。それは患者中心医療から患者主体医療への変化をもたらす。モバイルヘルス、患者団体SNS等がそのキーとなる」とし、未来の医療DⅩについては「患者主体的情報基盤DⅩの形成、地域医療連携のミニ・バイオバンク化、電子カルテの生命情報の取り込みと精密医療の大衆化・生命情報を含んだリアルワールドデータの実現である。なお、精密医療の大衆化は次世代生命情報医学の到来でもある」と示した。
 田中公章氏は、「高知県宿毛市におけるEHRを活用した地域医療連携の現状と展望」を演題につぎのように述べた。「当院も加わる地域医療情報ネットワーク『はたまるねっと』は、111施設が参加し、登録患者は人口の15%にのぼる。全国約270の内、総務省事業として選ばれている16の中でも、特に成功しているネットワークである。薬局レセコン、介護システムとの連携もスムーズだ。加えて、同ネットワークを活用した『SUKUMOオンライン医療実証事業』も大きな成果をあげている」


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