JIRA年頭所感発表会/SaMD等、新技術の医療実装への積極的貢献を目指す

 一般社団法人 日本画像医療システム工業会(以下JIRA)は、1月6日、恒例のJIRA山本章雄会長(富士フイルムヘルスケア代表取締役社長)による年頭所感発表会をKKRホテル東京(千代田区)で開催した。
 山本会長は、まず2022年をつぎのように振り返った。「新型コロナウイルスからの経済の一部回復も見られたが、その影響は継続しているに加え、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、国際政治・経済に大きな影響を及ぼした。半導体等の部材逼迫や物流の混乱、価格高騰、エネルギー不安、米国の利上げによる円安の一方で、医療機関への補助金もあった。また、各国の政策においてデジタル社会の進展と共に自国優先主義も印象的であった」
 次いで、昨年のJIRA活動トピックスをつぎのように紹介した。「SaMD(プログラム医療機器)の早期承認については、安全性を担保した上で、早く市場に出してデータ収集を行い、仮評価をスタートさせ、蓄積されたデータにより有効性の本評価を行うことによって予見性を確保していく、という速いサイクルで回していくことが産業の育成には重要だ。これに関して、JIRAは医機連を通じて各所で提案をしてきたが、年末の規制改革会議では、2024年度にもSaMDの早期薬事承認等を制度化するという中間答申(案)が出された」
 また、データの利活用環境の整備については「第2期医療機器基本計画の検討会等でも繰り返し訴えてきたが、基本計画にも明記された。一層の進展のために行政と対話を続けていく」と述べ、さらに診療報酬評価については、以下3項目について定期会合や中医協での提言準備を進めてきたと報告。「①SaMDの評価は、プログラム医療機器保険対応小委員会を発足した。加算評価の算定条件や施設基準等が存在しない技術評価の予見性向上に向けて評価の在り方の整理を進めた。②新技術であるC2申請の保険評価の予見性向上に向けて、従来のC2申請の調査を実施した。この情報分析を基に提案力強化と予見性向上を目指す。③医療安全については医療機器の長期臨床使用によるリスクの整理、被ばく管理の推進等について要件整理した」
 サイバーセキュリティに関しては、「患者安全視点での医療機器の薬機法における取り組み、情報安全視点での医療情報システム関連の標準化・国際化への取り組み」を解説。
 2023年に当たっては、以下の感想ならびに抱負を述べた。「人工知能を搭載したSaMDを始め、新しい技術の医療への社会実装が加速する段階に近づいていると感じる。既存の企業にとっては社会の変化への対応が必要にもなってくるはずだ。SaMDの承認件数の増加と並んで新たな課題も生じる。IT企業を始め、スタートアップ企業が会員となっていることも含め、会員企業との対話とJIRA委員活動を通じた産業振興を推進していきたい」さらに、「異常気象や感染症の流行、他国への侵略行為など100年に一度、10年に一度の事象が頻発しており、レジリエンスの向上が必要と強く実感している。またコンプライアンスに関する問題は画像医療システム産業でも例外ではなく、今一度会員企業一同襟を正し、日々の活動に取り組んでいきたい」とした。
 最後に2023年の重要課題として「①技術の進展や医療現場のニーズを踏まえた将来の医療現場への貢献—診断支援技術の適用拡大、人工知能の市販後学習等、②会員企業の開発意欲を促進する環境整備—保険償還における予見性の確保、法規制解釈ガイドライン等、③環境変化に伴う共通課題に対する会員企業への支援—部材調達、物流、脱炭素等環境負荷の低減、人材育成等」を挙げた。
 なお、1月6日現在のJIRA会員企業数は213社と報告された。
 また、年頭所感発表会に続き、昨年同様新年会に代えて「新春あいさつの会」が開催され、冒頭、山本会長に続き、宮原光穂氏(内閣府健康・医療戦略推進事務局参事官)、鶴田真也氏(厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課医療機器政策室長)、八神敦雄氏(厚労省医薬・生活衛生局長)、廣瀬大也氏(経産省商務情報政策局商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室長)らが挨拶に立った(八神氏はオンライン)。


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