富士フイルムヘルスケア/超音波診断装置用の肝脂肪化の測定機能「iATT」 多施設臨床研究の中間集計で脂肪肝に対する高い診断精度を確認
富士フイルムヘルスケア(本社:東京都港区)は、同社がサポートする多施設臨床研究※1の中間集計で、超音波の減衰特性を応用して肝脂肪化の程度を数値化する超音波診断装置用の機能「iATT」が、脂肪肝の診断において、高い診断精度が認められているMRI-PDFFの検出結果との互換性があることが認められたことを報告した。
本研究は、超音波診断装置による簡便な肝脂肪化の測定方法の確立を目的として、「iATT」とMRI-PDFFの脂肪肝の診断精度を比較評価するもの。今後、本研究を通して得られた明確なエビデンスのもとで「iATT」の普及につなげることにより、脂肪肝の早期発見に貢献することを目指している。
脂肪肝は、肝細胞の5%以上に中性脂肪がたまった状態を指す。初期にはあまり自覚症状がないが、肝硬変や肝がんへと進行する可能性があるため、早期発見が重要とされている。従来、脂肪肝の診断には、肝生検が主に用いられていた。しかし、肝生検には、侵襲的な手法のため繰り返し検査を行うことが難しく、肝臓全体の5万分の1の検体で評価することから、サンプリングエラーの可能性が高いという課題がある※2。
近年、肝生検に代わる検査法として、MRI装置を用いて非侵襲的に肝臓に含まれる脂肪の割合を求めるMRI-PDFFが用いられるようになった。MRI-PDFFは、肝臓内の脂肪と水の存在比により規定されるMRI信号の位相のずれから脂肪率を求める技術であり、正確な定量評価が可能といわれている。また、MRI装置同様非侵襲的に検査が可能で、多くの医療施設に普及している超音波診断装置を用いた検査手法として、超音波の減衰特性を応用して肝脂肪化の程度を定量評価する技術が注目されている。
同社は、肝脂肪化の程度を定量的に計測する機能「ATT」を、当社超音波診断装置用の機能として2017年より提供開始。腹部検査用の標準的なプローブを用いて簡便に脂肪肝の評価を行うことができる。さらに、超音波診断装置の信号調整と、独自の基準信号を用いた減衰計測アルゴリズムにより「ATT」の計測性能を進化させた「iATT」を2022年にリリースした。
今回の多施設共同研究では、この「iATT」の脂肪肝の診断精度評価を目的として、2021年5月より「iATT」とMRI-PDFFとの診断精度の比較を行っている。今般、本研究の中間集計で、脂肪肝の診断において「iATT」がMRI-PDFFの検出結果と互換性を有することが認められた。また、本研究では、早期脂肪肝(S0-S1間の識別)についても、「iATT」で検出可能であると認められた。
今後は、本研究を通して得られた明確なエビデンスのもとで「iATT」の展開を進め、世の中に広く普及している超音波診断装置を用いた非侵襲で簡便な検査環境の整備を実現し、脂肪肝の早期発見に貢献していく。
※1 ATT(Attenuation measurement)を用いた肝脂肪化の診断(多施設共同研究) -MRIを用いたPDFF(protondensity fat fraction)との比較-
※2 日本超音波医学会用語・診断基準委員会:脂肪肝の超音波診断基準.2021.
■中間報告会
本研究の中間報告会を下記の通り予定している。
テーマ :iATTを用いた肝脂肪化診断の現状~国内多施設臨床研究における中間報告~
日時 :2023年1月24日 19:00-20:00(60分)
形式 :オンライン ウェビナー
主催 :富士フイルムヘルスケア
参加方法:下記より事前登録を行う。
https://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/events/7389
問い合わせ先=富士フイルムヘルスケア 経営管理本部 ブランド・コミュニケーションセンタ
TEL: 03-6271-3040