エム・シー・ヘルスケア/これからの地域医療連携をテーマに講演
エム・シー・ヘルスケアは、11月25日、品川シーズンテラスホール(東京・港区)にて、「第23回病院の経営を考える会」を開催した。本年は当初、会場とWebのハイブリッド形式を予定していたが、コロナ第8波の状況を鑑みて急遽、Webのみの開催に変更。「これからの地域医療連携-地域で必要とされる病院となる-」をテーマに、木下芳一氏(兵庫県立はりま姫路総合医療センター院長)、土屋 誉氏(公益財団法人仙台市医療センター仙台オープン病院 院長)、小林宏之氏(元日本航空機長・危機管理専門家・航空評論家)が講演を行った。
開催に先立ち、同社代表取締役社長の三池正泰氏が挨拶。同会及び同社の軌跡を振り返るとともに、「今後ますます厳しくなる病院の経営環境のもと、弊社グループは自らの変革・進化を図る」と抱負を語った。
講演会ではまず木下氏が登壇し、「兵庫県立はりま姫路総合医療センター『はり姫』開院への道」と題して講演した。同院は兵庫県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院が統合し2022年5月に開院したが、再編計画について、「播磨姫路医療圏の医療上の問題点(医師、医療従事者、及び救命救急医療が足りない)の解決と、2院が得意とする医療の統合による、当該医療圏で今後増加が予想される疾患への対応」と説明。その上で、文化の異なる公と民の2施設統合の考え方や、開院に際し解決すべき問題点と実際の対応などについて述べた。
同氏は、「①救命救急医療、②高度専門医療、③医療人材育成、④臨床研究」が自院の使命であるとし、その開院後の現況及び実績を紹介。「まだまだ七転八倒状態であるが、課題を解決し地域に必要な病院となるための努力を続ける」と結んだ。
続いて土屋氏が、「これからの地域医療連携-地域で必要とされる病院となる-」をテーマに講演。同氏は地域で必要とされる病院の要件として、①ニーズに対する診療科がある、②高度医療により治療の満足度が得られる、③紹介が楽ですぐに治療してもらえる、④災害・感染症等、非常事態に対応できる、⑤困った時に頼れることを挙げ、自院がどのように活動しているかについて述べた。その中で紹介に関しては、平成20年から地域連携パスに取り組み、3年間で胃ろう・褥瘡・口腔ケアの3つを作成。災害対応については、東日本大震災において受付・会議室・手術室を急遽、病棟として活用した実例などを紹介した。
最後に宮城県、仙台医療圏の事情について語った上で、医療提供側と医療受療側の乖離など医療体制構築の問題点を挙げ、「行うべき医療の将来構想の確立、及び強力なリーダーシップが解決には必要」と語った。
小林氏は、「リーダーの平時の心構えと非常時の危機管理対応」と題して講演し、長年の機長の経験からリーダーに不可欠な条件について解説した。同氏はその条件を「①自己コントロール、②健康管理と危機管理、③持続する強い目的意識、④決断力、⑤コミュニケーション力、⑥理性と感性のバランス、⑦元気で明るいこと」と定義。各条件について、順に概説し、例えば決断力に関しては「危機対応の意思決定はほとんどが決断。その際には決して100点満点を狙わず、一番大事なもの以外は一旦捨てることが必要」と述べた。
また、まとめの際に、決断力について「決断の結果、起こり得ることを全て受け入れる覚悟と、事後説明の責任が伴う」と語り、講演を終えた。