富士通/電子カルテシステムから医薬品に関する情報を直接閲覧可能とするクラウドサービスを提供開始
富士通は、医療従事者が、電子カルテシステムを通じて、医薬品に関する適正使用情報などの様々な情報を直接閲覧可能とするクラウドサービス(以下、薬剤情報提供サービス)を、12月2日より日本国内で提供開始した。
本サービスは、医薬品に関する添付文書などの基本文書や、主要な臨床成績などをまとめた専門性の高い文書などの医薬品に関する幅広い情報を当社のクラウド上に集約し、厚生労働省が定める、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠したセキュリティの高いネットワークを介して、電子カルテシステム上からアクセス可能とした。
これにより、医療従事者は、診療現場で必要となる医薬品の情報を少ない負担で収集することが可能となり、安全で質の高い医療と患者のQOL(Quality of Life)向上につなげることが可能となる。また、製薬企業は、MRや会員制サイトなどを通じて医療従事者に提供してきた情報を本サービスで一括して提供可能となり、情報提供の効率化を実現する。
なお、本サービスは、電子カルテシステムに連携する薬剤情報コンテンツの種類や連携方法、情報提供上のルールなどについて、製薬企業と多くの意見交換を重ね、実証実験を経て開発したものである。
現在、安全で質の高い医療サービスを提供するために必要な医薬品に関する情報は、インターネット上の医療従事者向け会員制サイトなどで公開されているが、機微な診療情報を扱う電子カルテシステムにアクセスするパソコンやネットワークは専用環境であり、外部のインターネットに接続できないことがほとんどとなっている。そのため、医療従事者が診療時に医薬品に関する情報を参照するためには、電子カルテ以外の端末を医療機関内に用意して情報検索する必要があり、非常に非効率となっていた。
また、診療時以外では、製薬企業のMRや勉強会などを通じて、医療従事者は情報を得てきたが、近年は、医療機関内におけるコンプライアンス強化や昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、医療従事者と製薬企業の接点が大幅に制限されるようになっており、医療従事者が情報を入手することが難しくなっている。
上記の課題を解決するため、富士通は、製薬企業から提供される医薬品に関する情報を当社クラウド上に集約し、医療従事者が、セキュアなネットワークを介して電子カルテシステム上で情報を閲覧することができる、薬剤情報提供サービスを提供開始した。
薬剤情報提供サービスの特長
1. 電子カルテシステムの画面上で薬剤に関する情報の診療時間中の参照が可能
厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティの高いネットワーク経由で、処方オーダー画面など日常的に参照する電子カルテシステムの多くの画面から、医薬品の適正使用情報をはじめとする様々な情報を取得可能とした。これにより、医療従事者は、医薬品に関連する基本情報や専門性の高い情報、服薬指導箋などの情報を、それぞれの業務で使用する電子カルテ端末の各画面から容易に参照することが可能となり、正確な医薬品情報に基づく処方や医薬品の適正使用を支援する。
2. 医療従事者の情報収集や製薬企業の情報提供の業務を効率化
本サービスにより、医療従事者は、これまで製薬企業のMRや医療従事者向け会員制サイトなど、様々な手段を通じて入手していた情報を本サービスで一括して入手可能になるため、大幅な効率化が実現できる。また、製薬企業にとっても、当社クラウド上に医薬品に関する情報を集約し、タイムリーかつ複数の医療機関へ一括で提供することが可能になるとともに、医療従事者の閲覧ログから情報参照ニーズを分析し、医療従事者の求める情報を提供することができる。
実証実験の結果
当社が2病院の協力のもとで実施した本サービスに関する実証実験では、医師による1ヶ月間の情報閲覧件数が合計で4,683件となった。このうち、診療が行われる主な時間帯の午前9時から午後5時までの閲覧件数は3,397件(全時間帯の72.5%)となり、診療時に医薬品に関する情報を参照したいニーズが高いことが確認できた。
問い合わせ先=富士通コンタクトライン
TEL:0120-933-200