JASTROオンラインプレスセミナー/「為せば成る!」テーマに放射線治療の今を考える大会11月開催
日本放射線腫瘍学会(JASTRO)は、11月12日〜14日に第32回学術大会をオンラインで開催する。大会長は根本建二氏(山形大)。テーマは「為せば成る!」。大会に先立ち9月15日、同学会は、同大会の概要と学会活動を紹介するオンラインプレスセミナーを実施した。
冒頭、JASTRO理事長の茂松直之氏(慶大)が「放射線治療の現状と学会について」と題した挨拶の後、根本氏は第34回学術大会の内容について紹介。「大会では放射線腫瘍学のトピックス全般を取り上げるが、中でも粒子線治療や、従来の治療照射の線量率に比べて極めて高い線量率、 40 Gy/s以上で照射する高線量率照射“FLASH”に注目したい。他にも免疫チェックポイント阻害剤や放射線治療での共有意思決定のあり方、COVID-19 パンデミック下での放射線治療についてセッションを設けて議論したい」と述べ、また、東電事故から10年を振り返るシンポジウムや、10月23日開催予定の市民公開講座について紹介した。
次いで、「コロナに強い放射線治療」と題してJASTRO広報委員会副委員長の中川恵一氏(東大)が講演。放射線治療に関しての成人と乳がん患者に対して行ったアンケート調査の結果を報告。その結果から、同治療の認知度が低い点などを指摘し、放射線治療の普及啓発活動に今後も努めたいと述べた。
最後に「新しい放射線治療」を演題にJASTRO専務理事の宇野 隆氏(千葉大)が講演。宇野氏は、コロナ禍の影響に関しての全国実態調査の結果を説明。治療そのものへの影響は少ないが、治療装置の点検・修理や装置導入には影響が少なからずあったことや、寡分割照射を積極的に行う施設が増加したことなどを報告。加えて、最先端の放射線治療技術として、適応放射線治療(Adaptive Radiation Therapy: ART)および即時適応放射線治療(on-line ART)について紹介した。