富士フイルム/「肋骨骨折検出プログラム」新発売
富士フイルム(本社:東京都港区)は、AI技術※1を活用して胸部CT画像から肋骨骨折を検出し、医師の画像診断を支援するソフトウェア「肋骨骨折検出プログラム」の薬機法※3における医療機器の承認を取得した。本ソフトウェアは画像診断ワークフローを支援する当社のAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)※2」向けのアプリケーションとして、富士フイルムメディカル(本社:東京都港区)を通じて10月7日より発売する。
肋骨骨折の原因の多くは交通事故、転落、打撲などで、胸部外傷患者に多く見られる。また、肋骨骨折は、気胸、血胸、肺挫傷などの合併症を引き起こすことがある※4、5。そのため、大小に関わらず骨折を把握することは、肋骨骨折だけでなく合併症を含めて精確な診断を行う上で非常に重要である。
肋骨の骨折が疑われるケースでは、胸部単純X線検査に加えて、より詳細な読影をするためにCT検査が行われることがある。湾曲した肋骨にある骨折所見を見落としなく診断することは、集中力を必要とし、医師の負担が大きいと言われている。中でも、微小な骨折は、見落としやすいと報告されており※6、医師の負担を軽減し、見落とし防止を支援するソリューションが求められていた。
今回発売する「肋骨骨折検出プログラム」は、肋骨全体が含まれている胸部CT画像を自動解析し、肋骨骨折が疑われる箇所を検出してマーキングするソフトウェアである。マーキングされた領域を医師に再確認してもらうことで、見落し防止を支援する。また、SYNAPSE SAI viewerに搭載されている、医師が骨折の場所などを指し示す際に引用する「骨番号」を自動付与する「ラベリング機能」を併用でき、所見文を作成する際の負荷を軽減する。さらに、二次元画像から三次元画像を構成して観察できる 「VR機能※7」と併用すると、どの方向から外傷を受けたのかなど、骨折の原因分析に活用できる三次元的な情報を確認することができる。
AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」について
「SYNAPSE SAI viewer」は、富士フイルムの医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE(シナプス)」上で、AI技術を活用した画像診断ワークフロー支援を実現するAIプラットフォーム。CT画像から肝臓、腎臓などの臓器構造を自動で抽出する「臓器セグメンテーション機能」や、過去に撮影したCT画像を現在の画像に重ねてCT値※8の経時的変化を可視化する「骨経時サブトラクション機能」などを搭載。2019年7月の発売以来、医師の効率的な画像診断をサポートするソリューションとして、多くの医療機関で活用されている。
※1 AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に用いた。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。
※2 SYNAPSE SAI viewerは以下の医療機器を含む製品の総称。
SYNAPSE SAI viewer用 画像表示プログラム
販売名:画像診断ワークステーション用プログラム FS-V686型
認証番号:231ABBZX00028000
SYNAPSE SAI viewer用 画像処理プログラム
販売名:画像診断処理プログラム FS-AI683型
認証番号:231ABBZX00029000
SYNAPSE SAI viewer用 肺結節検出プログラム
販売名:肺結節検出プログラムFS-AI688型
承認番号:30200BZX00150000
SYNAPSE SAI viewer用 肋骨骨折検出プログラム
販売名:肋骨骨折検出プログラム FS-AI691型
承認番号:30300BZX00244000
※3 医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律
※4 Ziegler DW, Agarwal NN:The morbidity and mortality of rib fractures. J Trauma. 1994; 37:975-9
※5 Sirmali M, Turut H, Topcu S, et al: A comprehensive analysis of traumatic rib fractures: morbidity, mortality and management. Eur J Cardiothorac Surg. 2003; 24: 133-8.
※6 Traub M, Stevenson M, McEvoy S et al. The use of chest computed tomography versus chest X-ray in patients with major blunt trauma. Injury 2007:38:43–47
※7 CT画像などの二次元画像から三次元構造を再構成し、仮想的な光をあてることで組織ごとの光の透過量に基づいて三次元画像を表示する方法。
※8 CT検査において、被写体の中の小さな単位容積内における物質のX線吸収値。CT値が高い部分は、硬い状態であることを意味する。
問い合わせ先=富士フイルムメディカル 営業本部 マーケティング部
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