キヤノンメディカルシステムズ/“Made for Life”-医療の業態別に最適なITを提案
会場のパシフィコ横浜は、神奈川県にも蔓延防止等措置が発出中ということもあり、会場入り口でも厳重な感染症対策が施されていたのは当然であったが、キヤノンメディカルシステムズのブースでも、それに加えて万全の感染防止策がとられ、それぞれの展示も充分に距離を確保されていたのが印象的だった。
同社の有名なスローガンである“Made for Life”のもと、最先端の画像診断機器等を世界的に提供する企業として知られる同社だが、ヘルスケアITの雄としても広く知られるところであり、今回も最新の技術で開発された意欲的な製品が展示された。
●ペースメーカー統合管理サービス「Cardio Agento Pro for CIEDs」
Cardio Agento Pro(カーディオ エージェント プロ フォーCIEDs)は、今回が事実上の初お披露目となったペースメーカー統合管理サービスである。患者によってそれぞれメーカーの異なるCIED(心臓植込みデバイス)を一括してモニタリングできるほか、データをリアルタイムで参照しながら一元収集も可能になるという意欲的な製品である。また院内のシステムとの連携も可能となっており、データはさまざまな端末から出力もできるようになっている。これだけ自由度が高いとセキュリティ面が気になるところだが、すでに各省のガイドラインに対応しており、今後のマーケットへの訴求は間違いないであろう。
●顔認証機能付きつきカードリーダー「Hi-CARA」
「Hi-CARA(ハイカラ)」は『オンライン資格確認関係補助金』における無償提供の対象品となっているハンディサイズの顔認証機能付きつきカードリーダーである。このようなIT機器に慣れていない患者でも簡単な説明で操作は覚えられるレベルにまで操作を簡素化しているのが最大の特徴である。マイナンバーカードの保険証利用が進めば、保険証の提示が必要な場面で受付業務の効率化の有効なデバイスになるのは、間違いのないところだろう。
●電子カルテ/画像ファイリング一体型システム「Aventy3.0」
クリニック向けには、電子カルテ/画像ファイリング一体型システムの「TOSMEC Aventy3.0(トスメック アベンティ3.0)」を展示。各種の診断装置と連携して撮影された検査画像を電子カルテと同じ画面で簡単な操作で参照できるようになっており、展示では高精細モニタと接続させ高精細な画像を見せていた。入力はキーボードのほかペン入力も可能であり、使い勝手は見るからに良好だ。データはクラウドセンターにバックアップされ、さらにサーバで一括管理するのでセキュリティ面でも優れているのが嬉しい。レセコンや端末との接続性もよく、それでいてクリニック向けだけあって非常にコンパクトであるのも印象的であった。
●電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ」
「中・小規模病院」向けに紹介されていた電子カルテシステムが「MI・RA・Is/AZ(ミライズエーズィー)」である。同社のこれまで800件以上の電子カルテ導入実績から積み上げたノウハウを反映させ、機能を中小規模の病院での使用に特化したことによる「MI・RA・Is/AZ」の可能性は大きい。400種のダイナミックテンプレートを搭載した上、外来患者用には受付~診察待ち~会計済までの進捗状況が画面の色分けにより、ひと目で分かるようになっている。病棟の入院患者にはマップ機能で最新の状況も把握でき、また入力もできる。診察スケジュールはカレンダー形式の画面から入力も可能。また電子カルテ画面は2号紙カルテに準ずるので、初めての電子カルテシステム化への移行もスムーズに進みそうだ。
●歯科向け電子カルテシステム「HAPPY ACTIS-ERD」
HAPPY ACTIS-ERDは「歯科」領域での使用を前提に開発された電子カルテシステムである。歯科向けに特化した多彩な機能を搭載しているのはもちろん、総合病院ではキヤノンメディカルシステムズの医科向け電子カルテシステム・HAPPY ACTISと連携させることができるのが嬉しい。
●HAPPY RAPPORT
「大規模病院」向けには、同社は今回、医事会計システムの「HAPPY RAPPORT(ハッピー ラポート)」を提案している。このシステムは会計や受付業務中に患者情報画面を同時に呼び出せるばかりか、同一の画面内で保険情報や入院履歴の修正も可能という便利な機能を搭載している。修正後のデータは実行中の画面に即座に反映される。入院のスケジュールがカレンダー画面から一括で入力できるのも便利そうだ。「HAPPY RAPPORT」にはそのほかにも自動計算や算定チェックを含む高度計算機能が搭載されている。
●検診システム「Healthcare Agent&Asociado」
健診機関でも、「Healthcare Agent(ヘルスケア エージェント)」は特に規模の大きな「メディカルセンター・健診センター」に向けたトータルソリューションである。脳ドックや肺ドックのシステム、「健診PACS」、病院情報システム、臨床検査システムと連携させることができる。さらに、同社の医事会計システムとの連携も可能だ。「中・小規模健診施設」向けの「Healthcare Asociado(アソシアード)」は健診施設の規模や検査範囲に合せよりセッティングが細分化、専門化できるのが魅力のソリューションとなる。もちろん同社の医事会計システムとも連携するので、併せて導入すれば利便性も格段に上がるはずだ。
●モバイル型電子カルテシステム「HAPPY ACTIS Mobile」
病院内の効率化という意味では「HAPPY ACTIS Mobile(ハッピーアクティス モバイル)も、これからの病院が注視すべきシステム化かもしれない。電子カルテ/オーダリングシステムの「HAPPY ACTIS」のモバイル版ということは、つまり電子カルテの患者データをスマホやタブレットPCで共有でき、端末からオーダーも可能になる。もう大きなワゴンに医事PCを乗せて院内を移動しなくてもよく、スマホをポケットに入れておけばいいのだ。
●医療情報統合ビューワ「Abierto Cockpit」
医療情報統合ビューワの「Abierto Cockpit(アビエルト コックピット)」は、著名な大規模施設への導入を果たすなど、既に高い評価を得ている統合ビューワである。レイアウト自由の画面には患者の詳細な情報と検査結果、タイムラインなどを分割表示し、高品質かつ効率的な診療を可能にする。また、手もとのタブレットPCでも画面は共有できるので、その利便性は極めて高い。また、このモバイルに対応した機能は、カンファレンスの遠隔参加も可能にする。昨今のコロナ禍事情で、カンファレンスルームの人数制限があっても、スタッフがリモート参加して同じ画面を共有しながら極めて質の高いカンファレンスを実施できるようになる。