キヤノンメディカルシステムズ/画論 28th The Best Image 年末恒例の画像コンテストをオンラインで開催

 キヤノンメディカルシステムズは、2020年12月20日、「画論28th The Best Image」を開催した。同イベントは、同社製CT、MRI、超音波の3画像診断装置による画像の品質に加え、被検者へのメリット、撮影・画像処理技術の工夫、臨床的価値や創意工夫等を総合的に判断するコンテストで、今年で28回目。今回は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、オンラインでの開催となった。
 今回の応募総数はCT、MR、超音波の3部門合計で407件(※)。同日に最終選考画像56件によるプレゼンテーションおよび審査が行われ、特別講演の後に、上記3部門の上位入賞画像の発表が行われた。

プレゼンテーションの後、発表式に先立って特別講演「AIによる医療情報分析」が行われた。
 はじめに、河野浩之氏(杏林大)が「最新画像診断が支援する急性期脳梗塞診療」を演題に講演した。同氏は、まず急性期脳梗塞診療の現況について説明。そして脳出血の確実な除外、tPA静注療法・血栓回収療法の適応を迅速に判断するために画像診断が重要と強調した。
 つぎに、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、同院では検査と運用に時間がかかるMRIに代わってCTP(CT灌流画像)検査が第一選択となっていると説明。実際の症例画像を提示してその様子を紹介し、「CTPファーストにより、治療までの時間が大幅にスピードアップした。ベイズ推定法の精度も高く、治療後もDual Energy CTにより、造影剤と出血を区別することができ、診療に役立っている」と述べた。また、ワークステーションによるAIを用いた画像解析技術に触れ、同院で活用している画像解析ワークステーション「Vitrea」および読影支援ソリューション「Abierto RSS」による全自動解析の有用性を紹介した。
 つぎに宮田裕章氏(慶大)が「ニューノーマルの先にある社会とヘルスケア」を演題に講演を行った。同氏はまず、新型コロナウイルス感染症の影響について触れて「従来のペストやスペイン風邪と比べ、死者は少ないが社会・経済的な打撃が非常に大きい」と述べ、ビッグデータの活用の重要性を解説。今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することが重要であると語った。最後に画像診断におけるAIの活用について説明し、「AI単独で活用するのではなく、人間を組み込みながらAIと人間が共存することを模索すべき」と主張。「新型コロナウイルスが到来して医療の未来、社会の未来が変わりつつある。今後も研究者として微力ながら貢献したい」と、講演を締めくくった。
 閉会に際して瀧口登志夫社長が挨拶し、同社の新型コロナウイルス対応として、蛍光LAMPシステムを用いたRNA検出試薬「Genelyzer KIT」や等温増幅蛍光測定装置「GenelyZer Fシリーズ」、抗原検査キット「Rapiim SARS-CoV-2-N」を紹介。
 また、画像診断分野については、新たに開発したCT搭載感染症対策医療コンテナを紹介した。最後に、同社製MRIの磁石の内製化を実現したことを紹介。今後もMRI事業に限らず継続的な投資を続け、コロナ国難に微力ながら貢献していきたいと訴えた。

◆画論 28th The Best Image 入賞施設

《CT部門》
◎1~160列部門【最優秀賞】福岡山王病院 【テクニカル賞】鹿児島厚生連病院 【優秀賞】九州病院
◎1~160列(心血管)部門【最優秀賞】※該当なし 【テクニカル賞】海老名総合病院 【優秀賞】神戸循環器クリニック/佐賀県医療センター好生館
◎Aquilion ONE部門【最優秀賞】AIC画像検査センター 【テクニカル賞】公立陶生病院/舞鶴共済病院 【優秀賞】佐世保共済病院/岩手医科大学附属病院/等潤病院
◎Aquilion ONE(心血管)部門【最優秀賞】三井記念病院 【テクニカル賞】華岡青洲記念病院 【優秀賞】高瀬クリニック/新潟大学医歯学総合病院/北九州総合病院/順天堂大学医学部附属順天堂医院/松原徳洲会病院
◎Aquilion Precision部門【最優秀賞】※該当なし【テクニカル賞】岩手医科大学附属病院 【優秀賞】藤田医科大学病院
《MR部門》
◎1.5テスラ以下部門【最優秀賞】三井記念病院 【テクニカル賞】金沢医科大学病院 【優秀賞】大分県厚生連 鶴見病院/川島病院/藤田医科大学岡崎医療センター/藤田医科大学ばんたね病院/北松中央病院
◎1.5テスラ以下(脳神経)部門【最優秀賞】KKR札幌医療センター 【テクニカル賞】金沢医科大学病院 【優秀賞】金沢医科大学病院
◎3テスラ部門
【最優秀賞】杏林大学医学部付属病院 【テクニカル賞】順天堂大学医学部附属順天堂医院 【優秀賞】徳山医師会病院/福岡整形外科病院 【Clinical Update賞】友紘会総合病院/住友別子病院
◎3テスラ(脳神経)部門
【最優秀賞】自治医科大学附属さいたま医療センター 【テクニカル賞】杏林大学医学部付属病院
《超音波部門》
◎心臓部門【最優秀賞】国立循環器病研究センター 【優秀賞】岸和田徳洲会病院/神奈川県済生会横浜市東部病院/兵庫県立姫路循環器病センター
◎血管部門【最優秀賞】茨城県立こども病院 【優秀賞】横浜南共済病院/飯田市立病院/済生会熊本病院
◎腹部部門【最優秀賞】岩手医科大学附属病院 【優秀賞】ハッピー胃腸クリニック/前橋赤十字病院/筑後市立病院/大阪母子医療センター
◎乳腺・甲状腺・表在部門【最優秀賞】※該当なし 【優秀賞】兵庫県立がんセンター/中央林間病院/聖マリアンナ医科大学病院/りんくう総合医療センター

※応募総数はCTが142件、MRが136件、超音波が129件の計407件。


その他の記事

GEヘルスケア・ジャパン/メディアセミナー・ポケットエコーの有用性を患者及び経済観点から示す(24.12.20)

 12月2日、GEヘルスケア・ジャパンは赤坂インターシティコンファレンス(東京・港区)でメディアセミナー「ポケットエコーで実現するこれからの在宅医療~ポケットエコーのコストインパクト、現役在宅医があげる課題とは~」を開催した。  冒頭、同社超音波本部Primary Care部部長 麻生 光氏が「ポケットエコーで実現す…

GEヘルスケア・ジャパン/ セラノスティクスへの期待と国内における課題を解説(24.11.25)

GEヘルスケア・ジャパンは10月30日、Web上でONLINEメディアセミナー「がん治療の新たな展望-セラノスティクスの新たな展望と課題」を開催した。 同セミナーの2回目となる今回は、セラノスティクスによる診断・治療の見える化と国内導入の動向についての講演が行われた。 同社執行役員の松葉香子氏の挨拶に次いで、…

コネクタソン/23社が相互接続性を確認、来年は欧州との共同ワークショップレポート(24.11.25)

日本IHE協会は10月21~25日の5日間、東京都立産業貿易センター台東館(東京・台東区)で「IHE-J 2024コネクタソン」を開催した。 コネクタソンとは、IHE-Jのテクニカルフレームワークを実装した機器・システムの相互接続性を確認するために毎年実施しているもの。今年は、放射線検査(Radiology)、内視鏡(Endoscopy)…

エム・シー・ヘルスケア/次世代に向けた持続的な医療のあり方を討議(24.11.25)

エム・シー・ヘルスケアは11月1日、品川インターシティホール(東京・港区)にて、「第25回病院の経営を考える会」を開催した。今回のテーマは「次世代に向けた持続的な医療のあり方」。午前中に3ワークショップを同時開催し、午後は講演1、2それぞれの終了後に進行役と登壇者によるディスカッションが行われた。 ワー…

GEヘルスケア・ジャパン/セラノスティクス医療啓発と普及目指しセミナー開催(24.10.21)

GEヘルスケア・ジャパンは9月20日、Web上でメディアセミナー「がん治療の新たな展望-セラノスティクスの新たな展望と課題」を開催した。 セラノスティクス(Theranostics)とは、治療(Therapy)と診断(Di-agnostics)を組み合わせた医療技術であり、放射線を使った薬剤で病気を診断しながら、別の放射線を用いた薬を…

日本放射線腫瘍学会/第37回学術大会の概要と肺がんへの最先端治療技術を紹介(24.1010)

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)は9月19日、トラストシティ カンファレンス京橋(東京・中央区)で、学術大会前の恒例のプレスカンファレンスを開催した。今回は「肺がんへの放射線治療」をテーマに、同学会の主要メンバーが講演を行った。 初めに、同学会理事長の宇野 隆氏(千葉大)が挨拶し、放射線治療の現状と学会…

がん対策推進企業アクション/セミナーリポート(24.9.21)

がん対策推進企業アクション(厚生労働省委託事業)は、8月27日、神田明神文化交流館(東京・千代田区)にて、恒例のメディア向けセミナーを開催(オンライン含)。「がん教育の意味~ヘルスリテラシー最低国からの脱出に向け」を演題に、同事業のアドバイザリーボードメンバーの中川恵一氏(東大)が講演した。 同ア…

国際モダンホスピタルショウ2024レポート(24.8.15)

医療・介護・福祉関連製品を展示した国内最大のイベント「国際モダンホスピタルショウ2024(主催:一般社団法人日本病院会/一般社団法人日本経営協会)」が、7月10日から12日までの3日間、東京・有明のビッグサイトで開催された。今回のテーマは「健康・医療・福祉の新たなステージ ~DX推進による、確かな進化へ~」。…

JRC/「JRC2024」国際CTシンポジウム等も開催  ITEM2024は延べ来場者数約1割増で活況を呈す(24.5.1)

 放射線医療関連の国内最大イベント「JRC2024」が、4月11~14日の4日間、例年どおりパシフィコ横浜で開催された。主催は、一般社団法人日本ラジオロジー協会で、第83回日本医学放射線学会(JRS)総会(会長:陣崎雅弘氏=慶大)、第80回日本放射線技術学会(JSRT)総会学術大会(大会長:根岸 徹氏=東京都立大)、第127…

第35回関東医療情報技師会/診療情報標準化の重要性を各分野から改めて訴える(24.4.22)

 関東医療情報技師会は、4月6日、東京医科大学病院9階 臨床講堂(東京・新宿区)において、第35回関東医療情報技師会を開催した。「関東医療情報技師会」は、年に4回程度、勉強会を開催しており、その35回目となる。今回は医療情報技師だけでなく、ベンダや医療関係者にも広く門戸を開放した勉強会であり、約150名が参加…

島津製作所/恒例のレントゲン祭─リアル開催(2024.2.20)

 島津製作所は、毎年ヴィルヘルム・レントゲン博士の命日に博士の功績を称え遺徳を偲ぶ「レントゲン祭」と記念講演会を、2月9日、本社(京都・中京区)にて開催した。今回は101回目で、4年振りのリアル開催となる。  冒頭、医用機器事業部長の園木清人氏は式辞を述べた後、同社の最新トピックスを紹介。「高齢化、QOL向…

保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)/恒例の新春講演会&賀詞交換会を4年振りに対面で開催(2024.2.20)

 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は、1月23日、年初恒例のJAHIS新春講演会および賀詞交換会をイイノホール&カンファレンスセンター(東京・千代田区)で、対面方式での開催を4年振りに行った。  第1部となる講演会では、JAHIS総務会長の下山赤城氏の挨拶の後、同運営会議議長の大原通宏氏が「2024年の年頭に…

メドレーとグロービス・キャピタル・パートナーズ/「なぜいま医療DXが必要なのか?~医療DXの現在地とこれから~」セミナーレポート(2024.2.20)

 メドレーとグロービス・キャピタル・パートナーズは、1月18日、メドレー本社(東京・港区)にて、メディア向けセミナー「なぜいま医療DXが必要なのか?~医療DXの現在地とこれから~」を開催した。  同セミナーには両社から1名ずつが登壇。最初に、グロービス・キャピタル・パートナーズの福島智史氏が「医療DXを取り…

日本放射線腫瘍学会第36回学術大会レポート(2023.12.15)

■JASTR02023─展示会場にも多くの関係者が集う  11月30~12月2日、日本放射線腫瘍学会(パシフィコ横浜ノース)に合わせ、展示会も開催され、多くの関係者を集めた。以下に、小誌が注目する企業を紹介する。  ビードットメディカルでは陽子線治療装置の模擬装置が展示された。同社の古川氏によれば、「数年後の実用化」…

TOPへ