富士フイルムメディカル/「SYNAPSE VINCENT」のユーザーによる講演会を実施
富士フイルムメディカルは、1月17日、新大阪トラストタワー(大阪市淀川区)で「富士フイルムメディカルセミナー in 関西」を開催した。
同セミナーでは、「臨床現場で活躍するSYNAPSE VINCENT」をテーマに、同社の3次元画像解析ワークステーション「SYNAPSE VINCENT」のユーザーによる講演が行われた。
講演に先立ち同社販売統括本部関西四国地区営業本部長の山中健司氏が挨拶し「『SYNAPSE VINCENT』は全国800施設以上で採用されており、ユーザーの要望に応えてさらなる進化を続けている。今年は富士フイルムメディカル社創立50周年にあたり、日頃の感謝の気持ちを込めて全国で100以上のセミナーとイベントを企画しているので、多くの医療関係者に参加していただきたい」と述べた。
はじめに、オープニングプレゼンテーションとして、同社の画像技術センター主任研究員である李 元中氏が「VINCENT」を支える基礎技術について説明。同社の独自技術であるデジタルカメラにおける顔認証技術など、血管や骨の抽出技術についてや研究開発体制について説明。そして、「VINCENT」の画像解析技術の高度化や、その技術を同社のPACSである「SYNAPSE」に応用し、読影業務の効率化や質の向上につなげたいとコメントした。
基調講演では島田健永氏(大阪市大)が「VINCENTを使う~誰のために、何のために」と題して講演を行った。「30~50代の若年層における心筋梗塞が増えている。若年層の心筋梗塞発症は、そのまま死亡してしまうケースが多い」と、最近の国内での心筋梗塞患者の傾向について説明。そして、その診断と治療について、「症状のない若年者の不安定プラークは、カテーテルOCT検査で診断できるが、入院が必要なこの検査を、症状のない働き盛りの世代は受診しない。したがって外来でスクリーニングするしかないが、CTでならプラーク評価が可能である。今後、CTの画像データを解析するために『VINCENT』のような3Dワークステーションの活用が重要になってくる」と述べた。
ユーザーセッションでは、中尾俊春氏(大道会森之宮病院)、川合航大氏(大阪府立呼吸器アレルギー医療センター)、西久保直嗣氏(高清会高井病院)、山本 剛氏(大阪警察病院)らが、診療放射線技師の立場から、自院で導入・稼働している「SYNAPSE VINCENT」の有用性について講演を行った。
特別講演では、寺嶋宏明氏(田附興風会医学研究所北野病院)が「肝臓外科領域でのVINCENTの活用」、陳 豊史氏(京都大)が「呼吸器外科領域でのVINCENTの活用」と題して講演を行った。
寺嶋氏は、肝臓外科領域における3D画像と術前シミュレーションの重要性を解説。そして「当院に『SYNAPSE VINCENT』が導入されたことで、肝切除術のほぼ全例に術前シミュレーションが行われるようになった。今後は、肝切除手技のQualityや治療成績向上にどのようにつなげていくかを考えていきたい」と述べた。
陳氏は、呼吸器外科領域における画像支援の現状を紹介。肺移植手術での3Dプリンター技術を用いた反転肺移植や肺移植ドナー手術における3D CT-Angiography、肺がん手術での「SYNAPSE VINCENT」の活用事例を紹介。「画像支援の需要は増加しており、同領域の開発は必須で、医療への応用はさらに進むだろう」と述べた。
講演会場には、「SYNAPSE VINCENT」の実機展示も行われ、130名以上の来場者で盛況だった。