地域医療福祉情報連携協議会/第8回シンポジウム・総会
地域医療福祉情報連携協議会は、7月7日にソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区)で、第8回シンポジウム・総会を開催した。今回のテーマは、「地域における医療・介護情報連携ネットワークの推進・継続に向けて」。プログラムは、「来賓挨拶・協議会活動紹介」「基調講演」「ワークショップ」「グループワーク」の4部構成にて行われた。
<第1部 来賓挨拶・協議会活動紹介>
同協議会会長の田中 博氏(東北大/東京医歯大)が、開会挨拶を述べた後、田邊光男氏(総務省)と岡崎慎一郎氏(経済産業省)が、来賓挨拶の中で地域包括ケアに対する各省の取り組み等について語った。
続いて田中氏が、同協議会の基本方針や中心的活動、前年度の恒常活動および特別活動についての概要を説明。その中で「日本の場合、EHR構築は行政のトップダウンでは難しい。そこで当会は、各地域連携における『ミニマム連携診療情報項目』、および『共通ID番号』等を提唱し、下層からその仕組みを作っていく。これに個人管理の健康情報を加えることで、生涯にわたる健康医療・ケア体制を支える基盤になる」と述べた。
<第2部 基調講演>
中村秀一氏(医療介護福祉政策研究フォーラム)が、「社会保障改革の動向とこれからの医療・介護・地域包括ケア」について講演。同氏は社会保障費の現況や行政の取り組みなどを通じ社会保障改革の動向について述べ、今後の医療・介護について「高齢者像の変化に合わせて、社会保障のあり方も変わっていかなくてはならない。その際、ICT、データによる制御の貢献が大きく期待される」と論じた。
<第3部 ワークショップ>
テーマ1「地域医療情報連携ネットワークの運用継続性」では、柴田真吾氏(大村市民病院)が「あじさいネット-地域医療連携ネットワークの構築と運用継続性の追求」と題した講演を行った。同氏はあじさいネットの軌跡や現況等について語り、その経験から「地域医療連携は水道・電気・通信などと同様に、極めて公共的な存在であるべき」と述べた。
テーマ2「医療・介護情報連携(地方型)」では、田能村祐一氏(別府市医師会)が「ゆけむり医療ネットの現状と未来-医師会を中心とした地域医療・保健・福祉を連携する医療情報ネットワーク」について講演。同ネットの今後の課題として、「情報の真正性をより担保するために、誰が作ったデータかを明らかにする仕組みづくりが求められる」と指摘した。
テーマ3「医療・介護情報連携(都市型)では、溝尾 朗氏(JCHO東京新宿メディカルセンター)が「新宿区医療介護連携-地域包括ケアにおける病院の役割と多職種情報連携」について論じ、地域包括ケアを行う基幹病院に不可欠な要件として「地域包括ケア病棟の設置および、同病棟の入院患者を診察する総合診療医の育成」を挙げた。
テーマ4「全県地域医療情報連携ネットワーク基盤構築」では、「ひろしま医療情報ネットワーク-地区医師会枠、行政枠などに制限されない県全域を網羅するネットワーク基盤」について、藤川光一氏(ひろしま医療情報ネット)が講演。各枠組に制限されないネットワーク基盤としてグループウェア連携に着目し、結果構築された共同在宅診療共用カルテや多職種間電子連絡ノート、ひろしま健康手帳等について解説した。
<第4部 グループワーク>
医療・介護機関や自治体、教育・研究施設、企業等の参加者を1グループ7名前後の22グループに分け、ワークショップの4テーマから1テーマを選んで課題と解決に向けたディスカッションを実施。その後、1テーマにつき2グループの代表者による発表が行われた。