清水建設/免震システムを公開実験
清水建設は、7月15日に同社技術研究所(東京・江東区)で、「シミズ安震フロア」の性能を実証する公開実験を実施した。
「シミズ安震フロア」は、清水建設と新日鐵住金が共同開発した手術室の免震化装置。
東日本大震災では、東北及び関東地方の48%の病院において手術中の障害があったという(日本外科学会のアンケート)。具体的なものとしてインフラ機能の停止・中断に続き室内の医療機器の転倒がある。後者の防止、地震後の迅速な医療再開には免震構造が必須となるが、建屋免震が不可能な場合、また既存の非免震建造物もある。同ケースにおいて清水建設が提案するのが、部分床免震の「シミズ安震フロア」である。
その特徴は、エンボス加工した鋼板の上を床面となる平らな鋼板が滑り、揺れを低減させるというもの。平らな鋼板は、手術室の壁の間際でせり上がっており、計4つの復元バネで支えられている(下図参照)。
公開実験では、本年春に完成した大型振動台上に設置した模擬手術室を阪神大震災と東日本大震災で記録された代表的な地震波を用いて加振し、免震フロアの場合と非免震フロアの場合を比較。非敷設の場合は、中央の手術台が大きくずれ傾くまでに至る(上写真)が、敷設の場合はほとんど影響がない程度に収まる。また、大型振動台上のキャビン内に入り同様の比較を体験したが、揺れが大幅に抑えられ、免震フロアの有用性は十分に確認できた。
工事費は、55㎡の平均的な手術室で約2000万円。サーバ室や透析室での使用も有効であるという。