東芝メディカルシステムズ/「Global Standard CT Symposium 2015」
東芝メディカルシステムズは、8月29日にANAインターコンチネンタル東京(東京・港区)にて、「Global Standard CT Symposium 2015」を開催した。
開催に先立ち同社社長の瀧口登志夫氏が挨拶を述べ、国内CT被ばく半減プロジェクトについて「今後は低被ばく技術のPURE ViSIONとAIDR 3D Enhancedを当社のCTに標準搭載することで、医療被ばく低減に努めていく」と語った。続いてCT開発部の中西 知氏が「Aquilion ONE ViSION FIRST Edition」の新技術FIRSTの概要を紹介した。
その後、片田和広氏(藤田保健衛生大)を座長に、小野由子氏(海老名総合病院)が「神経放射線とCT画像診断~国内CT導入40年の変遷と最新4D‐CTA-」について講演した。同氏は現在に至るCTの軌跡を振り返り、最新の話題として「Aquilion ONE」を用いた頭部4D-CTAの臨床応用について解説。「(メーカーには)より安全性・確実性が高いCT機器の開発を期待し、私たちはより高度な病態診断を目指して研鑚を続けるべき」と今後の抱負を述べた。
■Session 1
シンポジウムSession 1は、富山憲幸氏(阪大)を座長に3名の演者が講演。最初に井野賢司氏(東大病院)が「CTの金属アーチファクトに対するアプローチ」を演題に講演を行った。 続いて小林達伺氏(国立がん研究ンセンター)が「Area Detector CTを用いた膵臓Perfusion」について講演。同氏は、「Aquilion ONE」を用いて膵臓Perfusion(以下CTP)を行い、膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻との関連性を調査。「今回の研究でCTPの結果とエビデンスのある結果が一致したことと、CTPのデータと病理組織学的所見との間に関連性が認められたことは、CTP研究における大きな進歩と考える」と語った。
宇都宮大輔氏(熊本大)は、「Area Detector CTを用いた心血管画像診断-治療方針につなげるCT診断を目指して-」を演題に心臓領域における臨床検証を報告。同氏はその中で、サブトラクションCCTAの検証結果について「20秒以下の息止めで施行可能で、日常診療において十分に利用可能と考える」と述べた。
■Session 2
山下康行氏(熊本大)が座長を務め、Session 1同様に3名の演者による講演が行われた。
井田義宏氏(藤田保健衛生大)は、「CTの診断参考レベルDiagnostic Reference Levels(DRLs)」を演題に講演。診断参考レベルを「診断領域の医療放射線防護における最適化のツール」と定義づけた上で、注意事項や有用な活用法等について述べた。最後に診断参考レベルに関する素朴な疑問をいくつか挙げ、「載っていない部位はどうするか?」という疑問に対して「今の診断参考レベルを応用して考える。その際は放射線科医と技師のパートナーシップが重要」等の回答を示し、講演を締め括った。
野澤久美子氏(神奈川県立こども医療センター)は、「Area Detector CTを用いた小児画像診断」について講演。同氏は放射線への感受性が高いなど小児の特性を明らかにした上で、小児領域におけるADCTのメリットとして「撮影の高速化と被ばく線量の低減」を挙げ、小児への臨床応用事例等を報告した。
粟井和夫氏(広島大)は、「逐次近似再構成FIRSTのclinical Capability‐CTのさらなる高画質化、低線量化へ向けて-」を演題に講演。同氏は、FIRSTの臨床的特長を、①従来のCTよりも精度の高い画像、②対象臓器・部位に合わせた画像最適化、③被ばく線量の低減の可能性、として撮影部位別の画像を紹介しつつ、同技術の優位性について述べた。同氏は、FIRSTの効果について「空間分解能が高く、アーチファクトが少ない画像を得ることができること。特に、肺野、心臓領域、ステントの描出等では従来のFBPよりも圧倒的に高画質なこと」と指摘した。