本田財団 2015本田賞/医療用ロボット開発のラッセル・テイラー博士が受賞
本田財団は、11月17日に帝国ホテル(東京・千代田区)で、「2015年本田賞」授与式および記念公演を行った。
本田賞は、人間環境と自然環境を調和させるエコテクノロジーを実現させ、結果として「人間性あふれる文明の創造」に寄与した個人やグループの功績に対し、毎年1件の表彰を行っている。
2015年は、医療用ロボットの開発に一貫して取り組み、この分野の技術進歩と人材の輩出に大きく貢献した功績により、ラッセル・テイラー博士(ジョンズ・ホプキンス大学)が選出された。
冒頭、本田財団理事長の石田寛人氏が挨拶。「テイラー博士は、医療用ロボット分野が確立していなかった時代に、治療を支援する技術、その技術が生み出す情報に着目し、未来へつながる新しい領域を創造した。テイラー博士が開発した技術をベースとする医療用ロボットシステムは、手術手法に革命をもたらした。それは患者の苦痛を軽減するのみならず、入院期間の短縮、総合的な医療費の軽減など、人々の闘病にかかる負担を減らし、健康増進に寄与するものである。これはまさしく本田賞の精神に沿った業績である」と述べた。
本田賞の授与に続き、テイラー博士の挨拶と記念講演「医療ロボット工学とコンピュータ統合支援治療」が行われた。
テイラー博士は、IBMのワトソン研究所の勤務時に中心となって開発した人工股関節置換手術支援ロボット「ROBODOC」のプロトタイプをはじめ、頭蓋顎顔面手術のための外科手術支援システム、術野を常に術者が見る画面の中央に位置させる「腹腔鏡下手術支援ロボットシステム(LARS)」などを説明し、「私の夢は、人とテクノロジーと情報のパートナーシップを確立することだ。これによって多くの患者を救い、よりよい治療を提供することができる」と語った。