神奈川県立がんセンター/重粒子線治療施設「i-ROCK」開棟式&内覧会
神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)の重粒子線治療施設「i-ROCK」が完成し、12月5日に開棟式および内覧会が行われた。
i-ROCKは、日本の重粒子線治療施設では5番目、がん専門病院に併設される施設としては世界初である。重粒子線治療装置は、東芝製で、神奈川県内の工場で開発された。治療室は、4室で全てにCTを設置している。照射法に関しては、従来のワブラー(ブロードビーム)法ではなく、スキャニング法を採用している。がんセンター併設のため、患者の病状を考慮し最適な治療を包括的に提供できるのも、特長の1つとして挙げられる。
開棟式では、神奈川県知事の黒岩祐治氏が、「先進医療認定の課題となっているエビデンスをしっかり取っていく。このi-ROCKから日本の新しいがん治療の地平を開いていきたい」と式辞を述べた。
神奈川県立病院機構の土屋了介理事長は、「従来の治療法と重粒子線治療の治療成績を比較するとともに、治療日数の短縮など重粒子線の利点を明らかにする研究が必要だ。重粒子線治療は患者負担が少ないだけでなく、費用対効果が良好になる可能性を持っている。この12月から徐々に臨床運用を開始する予定だが、1日も早いフル稼働を目指して努力していきたい」と語った。
開棟式の後は、施設内覧会が行われ、照射を行う治療室をはじめ、炭素イオンを光速70%程度まで加速する直径20mのシンクロトロンを有した加速器室、治療計画用のCTを設置した位置決め室、体形に合わせた専用の固定具を作成する固定具室などが見学者に公開された。