キヤノンメディカルシステムズ/超高精細・高精度なCT・MRIの最新画像診断技術を紹介
キヤノンメディカルシステムズは、2月9日、JPタワーホール&カンファレンス(東京・千代田区)において、「Advanced Imaging Seminar 2019」を開催した。なお、同大会の様子は、メイン会場となる東京会場のほか、札幌、仙台、大阪の全国3カ所のサテライト会場でも配信された。
開会挨拶で、瀧口登志夫氏(同社代表取締役社長)は自社の技術開発の方向性に触れて、「当社は、より質の高い医療を効率的に実現するため、臨床価値はもとより、それを効率的、経済的に実現する技術開発、商品開発に注力している。特に近年は高精細な画像を提供する技術開発に注力している。CT、MRIはもとより、バスキュラーや超音波診断装置など、すべての画像診断装置において、より高精細な画像を提供する装置を開発している。それらは確実な診断に至る重要な情報を提供するとの評価を頂いている」と述べた。
次いで、谷口 彰氏(同社CTMR統括ソリューション推進部)が最新のCT・MRIのラインアップを紹介。DLR技術を活用した最新の画像再構成技術AiCEをはじめとする同社の技術について詳しく説明した。
Session1では、MRIに関する講演が行われ、座長に長縄慎二氏(名大)を迎えて、次の4講演が行われた。
▽「Beyond the CANON MRI」山下裕市氏(キヤノンメディカルシステムズMRI事業部)▽「“AI”がもたらすMRI撮像へのBreakthrough」大田英揮氏(東北大)▽「Ultra Gradientシステムの脳神経領域におけるインパクト」堀 正明氏(順大)▽「Olea SDKを用いた医用画像処理プラグインの構築」檜垣 徹氏(広島大)
この中で、大田氏は、「ノイズを減らすDLRという手法は、多くのシーケンスに適応することができる。撮像時間を短縮する、空間分解能を向上させるといったことに役立てることが可能で、いくつかの問題点を改善すれば、SNRが高い画像を得られるようになる」と述べた。
Session2-1はCT 技術・臨床アプリ「装置の性能を最大限に切り拓く」が行われ、宇都宮大輔氏(横浜市大)を座長に迎えて、4講演が行われた。
▽「Dual Energyの臨床的ポテンシャル」町田治彦氏(杏林大)▽「Dual Energyによる新しいコントラスト表示BBI:Bone Bruise Image」野水敏行氏(富山労災病院)▽「造影CT画像の特性を活かし正確な画像診断へ」瓜倉厚志氏(県立静岡がんセンター)▽「循環器領域における新しい画像診断技術」山口隆義氏(華岡青洲記念心臓血管クリニック)
この中で、野水氏は、Dual Energy CT撮影を応用した撮像技術BBI(Bone Bruise Image:骨挫傷イメージ)について説明。「BBIはMRIのT2脂肪抑制画像と酷似しており、CTで早期の骨折診断が可能だ。BBIは新鮮髄内血腫を描出していると考えられ、病期診断の可能性にもつながる」と、同撮像技術の今後の可能性について語った。
Session2-2では、CT 診断から治療まで「画像を最大限に活かした治療」が行われ、高瀬 圭氏(東北大)を座長に迎えて、2講演が行われた。
▽「超高精細CTを用いた脳神経外科手術支援」齋藤邦昭氏(杏林大)▽「超高精細CTによる腹部の画像診断から治療までのパスウェイ」曽我茂義氏(防衛医大)
この中で、齋藤氏は、超高精細CTによる画像を高く評価し、「脳腫瘍や動脈瘤など脳神経外科手術における手術計画や手術合併症回避、また術後の血管評価に有用である」と述べ、「今後は、再構成や撮影の工夫で、より細い血管の描出能を上げていきたい」と述べた。