第47回日本医療福祉設備学会/HOSPEX Japan2018
第47回日本医療福祉設備学会は、「“ヘルスケア・サステナビリティ”に貢献する医療福祉設備」をメインテーマに、11月20、21日の両日、東京ビッグサイト(東京・江東区)会議棟で開催された。学会長は安原 洋氏(東大)。同学会では、講演4題、シンポジウム10題、HEAJ委員会企画6題、共催企業によるランチョンセミナー5題など、多数のセッションが行われ、各種医療・介護・福祉環境をより向上させるための具体的な取り組み等が紹介された。
学会初日の基調講演では、「長寿社会の課題と可能性」と題して、秋山弘子氏(東京大学 高齢社会総合研究機構)が講演。現在日本が直面している高齢社会について、秋山氏は最近の調査データから現在の高齢者の身体機能や知的機能、健康状態一般について、10年前と比べて5~10年は若返っていると説明。日本の高齢者の特性は大きく変化していると述べ、それを“長寿社会”と捉えていると強調した。その上で長寿社会が抱える課題として、個人の長寿化に伴う人生設計のあり方や高齢化に適した社会インフラの作り直し、長寿社会に対応した産業創成などを取り上げ、そのための“まちづくり”が必要であると訴えた。そして、その実験的な取り組みとして、千葉県柏市や福井県、秋山氏が取り組んでいる「鎌倉リビングラボ」の事例を紹介。今後、長寿と健康と経済をいかに効率よく循環させるシステムを作れるかが重要と述べた。
医療・介護・福祉の課題を講演
病院/福祉機器に関する展示会「HOSPEX Japan2018」は、11月20~22日の3日間、東京ビッグサイトで開催された。東展示棟1~3ホールにて、「建築・設備・エンジニアリング」「医療機器」「感染対策」「医療情報・ICT」「次世代医療」などのコーナーに分かれて、334社/562ブースで新製品を中心とした展示を行った。主催は日本医療福祉設備協会と日本能率協会で、3日間を通じての入場者数は3万3512名と盛況だった。
同展示会でも、「HOSPEX特別セミナー」や「全日本病院協会・日本医療法人協会共催セミナー」「医業経営セミナー」等の病院経営などをテーマにした講演会や、「病院・福祉給食」「医工連携」「看護」「医療機器安全管理」などをテーマにしたセミナーを開催。現在の医療・看護・福祉が直面する課題についてのレクチャーが行われた。
このうち、HOSPEX特別セミナーでは、2日目の11月21日、斎藤知二氏(久里浜医療センター)が「医療機関におけるコスト削減事例の紹介~材料・機器・物の購買、サービス導入などの契約実務から職員教育まで」と題して講演。医療材料購入契約について、業界の特性や取引の実際、共同購入やアウトソーシングの際の注意点など、契約担当者が持っておくべき実務知識について、実例を交えながら説明した。
今回、新たな集中展示企画として、国民の健康寿命の延長や健康リテラシーの向上、予防医療の発展を通じて、高騰する医療費の適正化を推進することを目的とした「JMA未病改善プロジェクト」を開催した。
病院が主導する新たな予防サービスに繋がる医療×スポーツヘルスケア(健康増進・予防)を融合した「メディスポ」、病気の早期発見や生活習慣病予防を支援する健診システムなどを展示する「健康診断・健康管理EXPO」、睡眠を通じてセルフメディケーションを支援する製品・サービスを展示する「ぐっすりEXPO~良質睡眠推進展」の3つの展示会が行われた。
次回のHOSPEX Japan 2019は、2019年11月20~22日、東京ビッグサイトで開催する予定。