キヤノンメディカルシステムズ/最新のADCT・高精細CTの画像診断技術を紹介
キヤノンメディカルシステムズは、8月18日、JPタワー ホール&カンファレンス(東京・千代田区)にて、恒例イベント「Global Standard CT Symposium 2018―Area Detector CTの進化と次世代CTのスタンダード」を開催した。同大会の様子は、札幌、仙台、大阪、福岡、那覇の全国5ヵ所のサテライト会場にも配信された。
開会挨拶で、瀧口登志夫氏(同社代表取締役社長)は「キヤノングループとなって8ヵ月が経ったが、この間、キヤノンのさまざまな技術と我々がこれまで培ってきた技術を融合させてきた。今後もMade for Lifeのスローガンのもと、医療に貢献し続けたいと考えている」と述べると共に、2011年に発表した国内におけるCT被ばくの半減プロジェクトについて、現在、国内で稼働する1万3000台のCTのうち約5000台に被ばく低減技術「AIDR 3D」を搭載することができたことを報告。さらに、同社のCTに関する取り組みについて、昨年11月にAquilion ONEが第1回日本医療研究開発大賞厚生労働大臣賞を、今年1月には第7回ものづくり日本大賞経済産業大臣賞を受賞したことを紹介した。
さらに瀧口氏は「昨年には、新たに高精細CT『Aquilion Precision』を製品化した。30年間変わらなかった解像度を2倍以上に向上させた装置として、多くの研究施設等で導入されている。次世代の高精細CTとして、このシンポジウムで情報発信を続けていきたい」と挨拶した。
瀧口氏の挨拶の後、同社CT事業部担当者からDeep Learningの手法を用いた画像再構成技術「DLR」に関する技術説明が行われた。
これらの後、同社CTに関するさまざまな講演が行われた。Session1では、座長に五味達哉氏(東邦大大橋病院)を迎えて、次の4講演が行われた。
▽「CT被ばく管理:画像診断管理加算3の背景と波及効果」村松禎久氏(国がん東病院)▽「DLR『AiCE』の物理特性の検証」檜垣 徹氏(広島大)▽「ベイジアンアルゴリズムによる頭部血流潅流の評価」大村知己氏(秋田県立脳血管研究センター)▽「Area Detector CTによる呼吸動体撮影の臨床応用」森谷浩史氏(大原綜合病院)
このうち、大村氏は講演で、「当施設は、2008年にAquilion ONEを導入し、CT Perfusion画像に関するさまざまな検証を行ってきた。今回、画像処理ワークステーション『Vitrea』に搭載されているベイジアンアルゴリズムによって頭部血流潅流を評価したが、当施設の酸素代謝PETと比較すると、CBF健側比において、従来の解析手法よりも安定した結果が得られた。これにADCTの4D技術を付加することによって、脳虚血疾患の多様なニーズに対応できる可能性が示唆される」と検証結果をまとめた。
Session2では、市川智章氏(埼玉医大国際医療センター)を座長に迎えて、次の4講演が行われた。
▽「ADCTによる腹部ECV(細胞外容積分画)解析:肝&膵」吉満研吾氏(福岡大)▽「DLR『AiCE』腹部領域における初期経験」中村優子氏(広島大)▽「超高精細CTの特性を活かした中枢神経領域における当院での取り組みと臨床応用」五明美穂氏(杏林大)▽「超高精細CT Aquilion Precisionの胸部における有用性について」森谷浩史氏(大原綜合病院)
このうち、森谷氏は、2017年12月に同病院に設置された高精細CT「Aquilion Precision」の初期使用経験について報告し、「微細形態を忠実に再現できる“精密計測装置”であり、普通に撮影するだけで従来のCTよりも“格段に解像度の高い画像”が得られる。あらゆる領域に威力を発揮するCTであることは想像に難くない」と語った。