医療福祉クラウド協会/MeWCAシンポジウム2018を開催
特定非営利活動法人医療福祉クラウド協会(MeWCA)は、5月17日に文京シビックホール(東京・文京区)でMeWCAシンポジウム2018を開催した。テーマは、「平成30年度における各省庁の医療・介護・健康分野における取り組み」と「医療情報とブロックチェーン」。
最初の挨拶でMeWCA理事長の御園愼一郎氏は、「インターネットが産業革命を起こしたと言われてきたが、ブロックチェーン技術がそれをさらに加速すると言われている。医療と健康の世界に身を置く者として、新技術を生活、ビジネスの分野で有効に活用することが求められていることから、今回のテーマに医療情報の保護とブロックチェーンを1つの柱としてシンポジウムを企画した」と理由を述べた。
第1セッションでは、基調講演として2演題が講演された。はじめに、「医療情報の保護と活用」と題して山本隆一氏(医療情報システム開発センター理事長)が講演。医療情報システムの安全管理に関するガイドラインと、ブロックチェーン技術の概要を説明した。つぎに、水島 洋氏(ITヘルスケア学会)が、「医療分野におけるブロックチェーンの活用」と題して講演。ブロックチェーン技術について説明した後、医療分野におけるブロックチェーン技術の活用の可能性に言及。また、国内におけるブロックチェーン技術の取り組みについて紹介した。
第2セッションでは、「医療・介護・健康分野における各省庁の取り組み」と題した講演5題を実施。内閣官房、総務省、厚労省、経産省、スポーツ庁の担当者が講演した。
▽「ブロックチェーンと医療情報」中島伸彦氏(内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 政府CIO補佐官)
▽「『医療・介護・健康×ICT』の推進」田中一也氏(総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 課長補佐)
▽「厚生労働省が進める データヘルス改革の取組状況 」大野太郎氏(厚生労働省)※同省 政策統括官付情報化担当参事官室 政策企画官 笹子宗一郎氏代理
▽「経済産業省の取組について~健康・医療情報の利活用への期待」髙熊万之氏(経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐)
▽「スポーツ庁におけるスポーツ実施率の向上施策について」安達 栄氏(スポーツ庁課長)
第3セッションは、「MeWCA講演」として御園理事長をモデレータに医療におけるブロックチェーンの実装事例とMeWCAプラットフォームの実装事例の紹介講演が行われた。前半の医療におけるブロックチェーンの実装事例は2演題が講演された。
はじめに窪寺 健氏(日医総研)が、「J-DOMEとブロックチェーン」と題して講演。J-DOME(日本医師会かかりつけ医糖尿病データベース研究事業)について説明した後、同事業のセキュリティ確保にブロックチェーン技術を活用していると述べた。そのことから健診結果情報の多くは緊急性が少ない、サーバー登録データは修正されることはないといった特徴ゆえに健診データベースにブロックチェーン技術を応用できる可能性があると主張した。
次に北山秀樹氏(テクノロジックアート)が、「J-Dome on RaBlock M」と題して講演。医療情報の共有・連携に特化したブロックチェーンシステムの開発フレームワーク「RaBlock M」について説明した。
MeWCAプラットフォームの活用事例では、2演題が講演され小杉義幸氏(東京薬科大)が、「医薬品添付文書データを利用するアンチドーピングデータベースの構築とWeb公開」、水野智博氏(名城大)が、「MeWCAの活用による健康サポート薬局を中心としたコミュニティ形成」を演題に講演。小杉氏は、MeWCAが提供する医療福祉クラウドのプラットフォームを活用したアンチドーピングデータベース構築の実際と、現状における課題について説明。水野氏は、長野県や青森県弘前市で実施した薬局完結型運動教室の取り組みについて紹介し、地域における医療施設不足を地域薬局が補う仕組み作りを紹介した。