キヤノンメディカルシステムズ/画論25th The Best Image
キヤノンメディカルシステムズは、1月27日にキヤノン本社(東京・大田区)で恒例の『画論25th The Best Image』を開催した。同イベントは、キヤノンメディカルシステムズ(旧・東芝メディカルシステムズ)製の画像診断装置を使って描出した画像のコンテスト。なお今回は、新生キヤノンメディカルシステムズとしての最初の最大イベントであり、東芝メディカルシステムズ時代から通算25回目を迎える。
今回の応募総数はCT、MR、超音波の3部門合計527件。同日は、上位入賞施設による応募画像の発表(ディスカッション)、発表式が行われた。
なお、発表式に先駆けて『Made for Lifeアワー』名のセッションが設けられ、同社の技術紹介と特別講演が行われた。
技術紹介では、技術開発センター長の立崎寿氏が『画像技術の取組』を演題に講演。25年前から現在に至る同社のCT技術の変遷と、同社製各種画像診断装置の高分解能化、動態診断、機能診断に向けての具体的技術の現況を紹介。最後に将来に向けた取り組みとして、「我々のミッションは、顧客と共に創りあげてきた技術と製品をコアに、臨床医が目の前の患者さんにとって、より効率的で質の高い診療を提供するために必要な情報を収集、結合、加工して届けることだ。今般発売した医療情報の統合と共有のためのソリューション『Abierto(アビエルト)』もそのための製品だ。将来的には、AIを用いたナレッジエンジンによるデータ利活用などその可能性を拡げていく」と述べた。
特別講演では、粟井和夫氏(広島大)が『次世代イメージングへの期待』について講演。2012年に始まった共同研究の成果をもとに、次世代のCT/MRI/USイメージングでは何が重要となるか、およびAIが画像診断にどのように関わるのかをテーマに私見を語った。同氏は、「従来よりも定量性が高い画像診断が次世代イメージングのキーワードであり、実際にそうしたモダリティが登場している。その正確度を我々が検証していく必要がある」と述べ、AIについては、「今後、診断、治療戦略の立案を変革する可能性がある」と期待を語った。
《CT部門》
辻岡勝美氏(藤田保健衛生大)「審査に当たっては、ポジショニング、被ばく低減、造影剤低減や表示技術までさまざまな視点を重視している。特に今回は、ポジショニングの面で役に立つ画像が多く見られた。診断医と術医の連携がうまくいくことが良い画像が撮れる1つの条件となる」
《MR部門》
小林邦典氏(杏林大)「MRは、元々多様性に富んだモダリティだが、その中でも今回はその多様性を十分に生かした症例画像を見ることができた。今まで行ってきた技術に工夫を加え、今まで見たこともないコントラストの画像が多く集まった。画論は、ユーザーとメーカーとの両者が互いに刺激し合う格好の機会である」
《超音波部門》
伊藤 浩氏(岡山大)「超音波は、CTやMRIと比べて技術的な進歩がある程度確立した領域を持つモダリティといえる。その確立した技術を駆使して症例画像を作成し、高度なプレゼンテーションを行った施設が目立った」
閉会に際して、キヤノン会長兼最高経営責任者の御手洗冨士夫氏が挨拶。
「キヤノンと旧東芝メディカルシステムズには大きな共通点がある。それはイメージング技術に軸足を置き、そのあくなき追求に力を注いできたことである。また、“Made for Life”と“共生”というそれぞれの理念においても大きな共通点を持っている。出自や歩んできた道のりは違うが、目指すところは同じである。キヤノンの初代社長御手洗毅は、もともと医師であり、そのこともあり当社は古くから医療器を手掛けていた。創業は1937年だが、当時は結核が広く蔓延しており、その早期発見に貢献すべくX線間接撮影カメラの開発を始めた。1940年に国内初のX線間接撮影カメラの開発に成功し、医療器事業をスタートした。しかし、カメラや複写機などの主力事業が隆盛を極める中、医療器へ十分な資金や技術者を割くことができなくなった。今回このような機会が訪れたことで、創業当時から抱いてきた夢をようやく叶えることができた。今後は、キヤノンメディカルシステムズがグループ内でメディカル事業を展開する企業の総本山として、グループの持つ先端技術やノウハウ、経営リソースを最大限に利用し、これまで以上によりよい製品とサービスを提供して社会に貢献していきたい」と語った。
最後に、キヤノンメディカルシステムズ代表取締役社長の瀧口登志夫氏が、主催者を代表して挨拶。
「昨年の第1回日本医療研究開発大賞において『4次元X線CT装置の開発』というタイトルで、片田和弘氏(藤田保健衛生大学名誉教授)、遠藤真広氏(医用原子力技術研究振興財団常務理事)とともに厚生労働大臣賞を受賞した。より良い医療を追求しようという先生方の思いを我々が製品開発で応えることで実現したものだと思う。臨床現場で必要な技術やサービスの開発を我々が実現する。できあがったものを臨床の現場で使ってもらう。このサイクルが実現してこそ、我々の“Made for Life”が実現する。画論で提示されたさまざまな臨床例が全国で使われてこそ、その価値が高まる。画論を通して“Made for Life”で生まれた技術・手技が世の中に広まっていくようにするのが当社の責任である。その活動に今後も邁進していきたい」と語った。