日立製作所・北海道大学/陽子線治療システム用動体追跡システムが米国食品医薬品局から販売認可を取得
日立製作所は、北海道大学と共同で開発した陽子線治療システム用「動体追跡システム」について、2017年12月26日に米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の販売認可を取得した。これにより、米国において動体追跡技術とスポットスキャニング照射技術の両方を搭載した陽子線治療システムによる治療が可能となる。
同社と北海道大学は、2010年に内閣府/日本学術振興会・最先端研究開発支援プログラムの採択を受け、呼吸に伴って移動する肺や肝臓の腫瘍の治療に対応するための研究を始めた。2014年に、動体追跡技術とスポットスキャニング照射技術の両方を用いた陽子線治療システムを世界で初めて実現。従来用いられていた患者の体表面の動きを検知して、あらかじめ定められたタイミングでのみ陽子線を照射する呼吸同期照射に対して、動体追跡技術を用いて腫瘍の近くに埋め込んだ金マーカーの位置をX線透視画像で追跡することで、移動する腫瘍に、より正確に陽子線を照射することが可能となった。
動体追跡技術を適用した陽子線治療システムは、日本国内では2014年8月に薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得。北海道大学病院では、同病院臨床研究開発センターと協力し、約3年間の治療実績のうち約7割の患者に同技術を適用している。この実績が評価され動体追跡粒子線がん治療装置は、平成29年度全国発明表彰で最も優れた発明に贈られる「恩賜発明賞」を受賞した。
同社がFDAから販売認可を取得した陽子線治療システム用の「動体追跡システム」は、米国で現在建設中の施設に導入される予定である。