日立製作所/電子カルテデータの解析で、糖尿病治療薬の効果を予測・比較する技術を開発
日立製作所は、米国ユタ大学が有する糖尿病患者の電子カルテデータを機械学習を活用して解析することにより、糖尿病治療薬の効果を予測し、比較する技術を開発した。
これまで同社は、健康支援サービスや糖尿病予備群向けプログラムの開発などITを活用した糖尿病対策に取り組んでおり、今回はユタ大学の協力のもと糖尿病治療薬ごとの治療効果を予測し、比較する技術を開発した。開発にあたっては、まずユタ大学が有する匿名化された約9,000症例の糖尿病患者の電子カルテデータの内、約6,800症例のデータを元に薬の種類・量・投与期間・体重・検査値の推移などをユタ大学の医師、薬剤師と同社が培ってきた知見を活用して時系列的に解析した。その結果得られたさまざまな情報を機械学習の技術を用いて分析することで、HbA1c値を低減できる確率を患者ごと、薬の種類ごとに予測可能なモデルを構築した。同技術を用いることで、米国において標準的な通院間隔である投薬開始90日後の治療結果を薬ごとに予測し、比較可能となるため患者の特徴や状態に合わせた最適な薬の選択・判断を支援することができる。今回、同技術をユタ大学の持つ残りの約2,200症例の糖尿病患者データに適用してシミュレーションしたところ、90日後の糖尿病の治療結果を高精度に予測できることを確認した。
同社は、今後ユタ大学と協力して本技術の実用化に向けた共同研究を行うとともに、ITを医療に活用するヘルスケアインフォマティクスを通じて医師の支援や患者へのよりよい医療サービスの実現に貢献していく。