第67回日本病院学会/『医療人育成ルネサンス』をテーマに活発な議論を展開
第67回日本病院学会が、7月20~21日の2日間に神戸国際会議場および神戸ポートピアホテル(神戸市)で開催された。 学会長は、内藤嘉之氏(社会医療法人愛仁会理事長)で、学会テーマは、『医療人育成ルネサンス』。
今学会では、特別顧問の邉見公雄氏(全国自治体病院協議会会長/赤穂市民病院名誉院長)と大道道大氏(大道会森之宮病院理事長・院長)をはじめ2府4県から実行委員を集め、オール関西体制で企画と準備を行った。
同テーマに決めた理由について内藤氏は、20日に行われた開会式で、「このテーマは、介護、医療の現場における医療人の育成について、今1度原点に立ち戻って考えてみようというメッセージを込めたもの。超高齢化社会に求められる医療人の育成について4つの特別講演、14のシンポジウム、741題の一般演題を通じて、参加者の皆さんと考えていきたい」と挨拶した。
開会式直後の学会長講演でも、引き続き『人財育成ルネサンス 愛仁会における人材育成』と題した講演を行い、「病院における人材育成のポイントは、診療機能を支える人的資源の育成」と述べ、特に急性期医療を支える麻酔科医と、病院機能を組織横断的に支える事務系幹部職員の育成が重要であるとして、同法人における取り組みを紹介した。
次に、日本病院会会長講演が行われ、日本病院会会長の相澤孝夫氏(社会医療法人慈泉会理事長)が、『変化を創出しなければならない時代における病院のあり方』と題して講演。病院を取り巻く周囲の環境の変化について、少子高齢人口減少社会の到来や、社会情勢および医療政策の変化に触れ、「医療界が直面する高齢者医療の問題とは、要支援・要介護の高齢者を対象とする医療需要が増加することであり、従来型の急性期医療では解決できない」と述べて、変革時代における病院経営のあり方について持論を展開した。
日本医師会会長講演で、横倉義武氏(日本医師会会長)は、平成30年度の同時改定に対する日本医師会の見解を述べ、「財政審は、1995年度を起点として診療報酬本体が賃金や物価の水準に比べ高いと指摘するが、アベノミクスが始まった2012年度を起点とすると、むしろ2016年度の診療報酬本体の水準は低い。秋に公表される医療経済実態調査の結果を踏まえて、適切な判断が必要である」と強調した。
また、同日行われたシンポジウム4『地域包括ケアシステムにおける中小病院のあり方』では、中小病院を取り巻く大きな課題として地域包括ケアシステムを取り上げ、3件の中小病院院長による講演が行われた。
▽地域包括ケア病棟のあるべき姿:相澤東病院を開院して思うこと(宮田和信氏・慈泉会相澤東病院院長)
▽地域包括ケアシステムにおける中小病院のあり方 命でつながる医療連携~連携の要諦は信頼とコミュニケーション(澤田勝寛氏・慈恵会 新須磨病院)
▽“地域医療科”による地域医療の実践から中小病院が地域で生き残るための、人財育成・診療体制の組織化と“地域総合病院計画”(藤城貴教氏・清水赤十字病院)
最後に、国の施策について『地域包括ケアシステムについて』と題して、鈴木健彦氏(厚労省老健局老人保健課)が今後の方向性を紹介した。
次回の第68回日本病院学会は、2018年6月28~29日、石川県金沢市の石川県立音楽堂他、3会場で山田哲司氏(石川県立中央病院院長)を学会長に開催予定である。