国立がん研究センター・日本電気/人工知能(AI)を活用したリアルタイム内視鏡診断サポートシステムを開発
国立がん研究センターと日本電気(NEC)は、人工知能(AI)を用い、大腸がんおよび前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するシステムの開発に成功した。
このリアルタイム内視鏡診断サポートシステムは、大腸の内視鏡検査時に撮影される画像で大腸がんおよび前がん病変をリアルタイムに自動検知し、内視鏡医の病変の発見をサポートする。また、臨床現場でリアルタイムに医師にフィードバックするため、画像解析に適した深層学習を活用したAI技術と独自の高速処理アルゴリズム、画像処理に適した高度な画像処理装置(GPU:Graphics Processing Unit)を用いて、1台のPCで動作するプロトタイプを開発した。
大腸腫瘍性ポリープは、大腸がんの前がん病変であるため内視鏡検査時に見つけ出し摘除することにより大腸がんへの進行を抑制する。ポリープは、内視鏡医が肉眼で見つけるが、サイズが小さい、形状が認識しにくいなどの場合は見逃されることもある。
同システムでは、国立がん研究センター中央病院の内視鏡科による所見が付けられた約5,000例の内視鏡画像をNECのAI技術に学習させた。同AI技術を用いて新たな内視鏡画像を解析したところ、前がん病変としてのポリープと早期がんの発見率は98%という結果となった。
今後、国立がん研究センター中央病院と研究所が連携し、肉眼での認識が困難な平坦・陥凹病変をAIに学習させシステムの精度を上げて臨床試験を行った後、日本だけでなくグローバルでの実用化を目指す。