Medtec Japan 2017
医療機器の製造・設計に関するアジアで最大級の展示会・セミナー「Medtec Japan 2017」が、4月19~21日に東京ビッグサイト(江東区)で開催された。東4~6ホールの3会場に13エリアを設定し、544社/団体が参加。来場者数は3万2561名(3日間)に達した。
「介護・福祉ロボット&機器開発/ロボット・メカトロエリア」では、ライザック技術研究所出展の医療教育用シミュレータ「mikoto(ミコト)」の展示が人気を集めていた 同装置は、今年3月に受注を開始したばかりの人体型手技訓練ロボットで、経鼻・経口気管挿管用のシングルタスクモデルと、経鼻・経口気管挿管に加え、経鼻・経口内視鏡検査と喀痰吸引のトレーニングが可能なマルチタスクモデルの2種類がある。マルチタスクモデルは、センサ付加により音声発語などの生体反応機能を備えており、各種センサの反応強度や手技時間によるトレーニングの客観的評価が可能となっている。大学病院や医学部のシミュレーションセンターや救命救急センター設置病院、看護等の専門学校などを販売対象としており、すでに多くの施設から問い合わせがあるという。
このエリアでは、ニットーが出展したウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」も来場者の注目を集めていた。同装置は、千葉大学フロンティア医工学センターなどと共同開発中のシステムであり、両足への装着により膝関節と足首が定角固定されることで、身体に力を入れることなく中腰の姿勢を維持できるようになる。装置の素材は、軽量・強靭かつ柔軟性に富む金属+カーボンで、固定ロックを解除すると歩行が可能。医療現場では、長時間にわたる手術での術者の体力的負担を低減し、安定動作の向上などが期待できる。同社は、本年度中の発売を目指しており、まずは医療現場から導入を始め、順次、他分野にも拡大していく計画である。
例年多くの来場者が訪れる「医療用ICT・在宅医療・ウェアラブル・ソフトウェアエリア」では、ソシオネクストが「8K医療画像ソリューション」を展示。同システムは、NHKが持つ8K映像技術の医療応用での可能性を示唆するもので、膨大な量の8K医療画像データをHEVCによりリアルタイムで400分の1に圧縮し、8Kの記録/伝送データのリアルタイム再生を可能にする。同社では、手術などの長時間記録や高解像度の遠隔医療への応用を想定している。
その他、同エリアにはアルプス電気が、院内の環境モニタリング構築を装置の後付けで実現する「センサネットワークモジュール」を出展。温湿度や気圧等のセンサ検知による各病室の情報を、Blutoothを介してリアルタイムでタブレット端末等に表示することにより、直射日光で温度が高くなり過ぎていないかなどの室内環境を個別に把握できる。病室一括管理の新たな試みとして、好評を博していた。
なお、開催初日には、医療機器の製造・設計において優れた成果を上げた企業を表彰する毎年恒例の「Medtecイノベーション大賞」を発表。第6回目に当たる今回は、最終審査の上、中小5企業が国産の整形外科用脊椎インプラントシステムにチャレンジした「RENGパートナーズ(田中医科器械、スズキプレシオン、東鋼、奈良精工、湯原製作所)」が大賞に選出された。