清水建設技術研究所/細胞培養プロセス最適化のための細胞加工・調整施設発表・見学会
清水建設は、同社技術研究所(東京・江東区)内に、高度な環境制御機能を備えた細胞加工・調整施設「S‐Cellラボ」を建設し、3月23日に発表および見学会を開催した。
細胞培養の生産性は、細胞の種類や個体差に加え、原材料・容器などの資材、培養プロセス、培養環境など多様な要因に左右されることから、量産過程では統合的な管理方法の確立が求められる。同ラボは、細胞調製室と分析室、環境モニタリング室等で構成され、細胞の培養に必要な機能を集約した約100㎡の施設。培養の過程で細胞に影響を与える可能性がある清浄度・気流・室圧・温度・湿度や、光・音・振動、空気中のCO2、ガス状化学物質等をリアルタイムにモニタリングし、濃度を制御することができる。その結果と細胞培養の生産性との関係を明らかにすることにより、最適な培養環境が究明できる。
同社はこのラボを用いて、製薬会社や研究機関等と広く共同研究を実施、環境の最適化を図り、培養細胞の品質の安定化、生産性を向上させる総合的なプロセス設計のノウハウの蓄積を図っていく。
発表会冒頭、同社技術研究所の所長である石川 裕氏は、「当技術研究所は建設事業の進化に向けた技術開発に注力しているが、併せて新たな収益の種となる技術の研究開発を行っている。本日紹介する内容はその一端である。2年前に研究所内に医療環境グループを作り、将来の有望分野として再生医療を取り上げ勉強してきた。このS‐Cellラボはその成果の1つである」と述べた。
関口 猛氏(エンジニアリング事業本部副本部長)は、「我々は再生医療関連を今後の有望市場ととらえている。2020年頃から急成長し、2030年度には1.6兆円規模になるとの予測の中で、10~20%が設備投資に回れば、現在の製薬業界に匹敵する市場になると期待している。建築だけでなく中のプロセスに関わるエンジニアリングも一式で行える事業を展開していきたい」と語った。