日本画像医療システム工業会(JIRA)/画像医療システム産業研究会
日本画像医療システム工業会(JIRA)は、2016年12月16日に「医療分野のICT利活用」をテーマに、第6回JIRA画像医療システム産業研究会を開催した。
開会に先立ち小松研一氏(JIRA会長)は、「2017年にJIRAは50周年を迎える。画像医療産業の次の半世紀が始まるに当たって、『医療分野のICT利活用』はふさわしいテーマだ。本研究会が会員企業の新たな技術開発と産業活動の活性化につながることを願う」と挨拶。基調講演では、藤本康二氏(内閣官房健康・医療戦略室次長)が、「医療・介護・健康ICT基盤の構築」について、行政視点から特別法の立案過程を講演。
続いて黒田知宏氏(京都大)が、「病院のICT化の現状と未来~IoTが拓く情報化医療の未来~」を講演。同氏は、京大病院情報化の流れや病院情報システムの課題を語り、HISに結びついてリアルタイムで位置情報に即した情報の記録および提供を行うContext-Aware IT Systemが実用化されている現状を説明した。
佐藤嘉伸氏(奈良先端科学技術大学院大)は、「治療に直結した医用画像処理とビッグデータ解析~CT画像からの人体解剖の自動認識と治療支援~」を講演。同氏は計算解剖学の概要やCT画像からの臓器認識の現況を解説。治療支援に関しては人工股関節の自動手術計画等を説明し、「今後は医用画像データをデータベース化し、病院等の枠を超えて安全に共有できるためのICT技術の整備が必要である」と述べた。
長谷川高志氏(群馬大)は、「遠隔医療の大潮流と遠隔画像診断の将来展望~遠隔画像診断サービスの普及に向けて~」を講演。同氏は、遠隔医療の定義や概況、展望について述べた後、今後の課題を倫理、質管理、産業に分けて語り、産業に関しては、「優れたインテグレータの参入が普及の鍵となる」と指摘。最後に、「バランスの良い精密な視座で遠隔医療を推進する人々が増えることを期待したい」と締めくくった。