日立製作所/日立ヘルスケアの日 IN TOKYO 2016
日立製作所は、11月19日にヘルスケアユニットの新社屋である上野イーストタワー(東京・台東区)で同社初のイベント「日立ヘルスケアの日 IN TOKYO 2016」を開催。ユーザーとパートナーを招き、セミナーや製品展示を通し日立の新しいヘルスケアへの取り組みを紹介した。
セミナーは、日立製作所のヘルスケアに対する取り組みを紹介する“Hitachi’s Healthcare Vision”2題と特別講演2題。“Hitachi’s Healthcare Vision”では、まず香田克也氏(ヘルスケアビジネスユニットヘルスケアソリューション事業部長)が「医療価値の向上を支援する日立の医療イノベーション」と題し講演。医療の世界的潮流を俯瞰しつつ、病院運営での課題の解決手段となり得るAIやIoTのトレンドを示した。さらに、それらを生かした日立の医療イノベーション事業について、AIによる「院内トリアージ」の実証実験などの事例を紹介した。
中川 徹氏(日立健康管理センタ副センタ長)は、「データヘルスにおける“はらすま”ダイエットのインパクト~日立健保データヘルス計画について」を演題に講演。厚労省が進める「データヘルス」施策を受けての日立健保における具体的事業「はらすまダイエット」の概要と取り組んだ従業員の成果を紹介。90日で体重5%減を目標として、10日ごとのPDCAサイクルをベースにスマホ等を利用しながらのダイエット法により、半年後にはメタボ該当者が676人のうち487人解消したという。
■診断・治療の最新動向を講演
特別講演では、桒山真紀氏(日本診療放射線技師会)が、「乳がん検診における総合判定と診断アプリケーションの潮流」を、大村文敏氏(高円寺整形外科院長)が、「骨粗鬆症の診断と治療-最新の考え方」を講演。
桒山氏は、「乳がん検診での総合判定を示すためには、マンモグラフィと超音波の併用検診による病変検出が必要」と述べ、超音波・マンモグラフィの所見を優先すべき例をそれぞれ示し、エラストグラフィ、フュージョン、造影超音波のアプリケーション活用について、実際の症例を示して解説した。さらに「今後の乳がん検診では、dense breast対策の正しい理解やアプリケーションの適切な使い分けが重要だ」と述べた。
大村氏は、まず骨密度と寿命の関係を述べた後、骨粗鬆症を原因とする脊髄や大腿骨近位部骨折術後患者の死亡率を紹介。大村氏は「後者では、術後1年で9.1~18.6%が死亡する。心筋梗塞は7%、脳梗塞は5%だ。しかも、世界の先進国の中で日本だけが大腿骨近位部骨折が増加している。日本で健康長寿を達成するには骨折リスクの高い骨粗鬆症の治療が必要だ」と述べ、各種治療薬の作用機序を解説した後「骨粗鬆症の病態には骨密度の低下と骨質の劣化があり、その診断には骨密度の正確な測定と骨代謝マーカーの評価が有用だ。測定装置としてはDXAが最も精度が高く、腰椎と大腿骨での評価が骨折リスクや治療効果の判定に信頼性がある」とまとめた。
また、日立製作所とユーザー両者からの発言による「日立MRIフォーラム」「日立CTフォーラム」では、同社のMRI、CTによる画像を紹介しながら、その技術面・臨床面での有用性が報告され、会場は満員の盛況となった。MRIフォーラムの演者は、西村祥循氏(日医大武蔵小杉病院)、吉川宏起氏(駒澤大)他、CTフォーラムの演者は、内山惠司氏(辻内科循環器科歯科クリニック)、井上幸平氏(大村病院)他。
なお、実機を含む、同社製品の展示がホールで行われ、終日多くの来客で盛況をきたした。