フィリップス エレクトロニクス ジャパン/増加する心房細動に対する心エコーの有用性を講演
フィリップス エレクトロニクス ジャパンは、10月25日に新丸ビルコンファレンススクエア(東京・千代田区)にて、最新テクノロジーを用いた心房細動診断・治療の最新事情に関するプレスセミナーを開催した。
演者の竹内正明氏(産業医大)は、心エコーの第一人者であり、本年8月にフィリップス製超音波診断装置ソフトウェア「HeartMode1」を用いた心房細動患者に対する心臓機能評価研究の論文を発表している。本セミナーでは、「心房細動に対する心エコーの有用性」をテーマに、心房細動患者に対する超音波診断の課題と最新技術が果たす役割を述べた。
心房細動の定義や我が国での慢性心房細動患者数の推移と今後の予測から始まり、「心房細動は日常の臨床で最も多く遭遇する不整脈で、年々増加傾向にある。塞栓症が原因の脳梗塞を発症すると重篤な障害を残し、心不全合併症も多くなる。そのために正確な心機能評価は極めて重要だ」とし、1980年には慢性心房細動患者数が39.1万人だったものが、2030年には106.1万人にまで増加すると予測。また、心機能評価に有効な経食道心エコー検査の実績を示した。同検査は、先端に超音波プローブがついた胃カメラに似た管を食道・胃内に挿入し、心臓の背後からエコーで心臓を観察する検査である。
超音波画像とともに、「HeartMode1」を用いた3次元エコー画像も示され、定量解析での3次元全自動計測ソフトの有用性を明らかにした。さらに、「『HeartMode1』を用いれば約60%の症例で、全自動で多心拍の平均値を比較的短時間で求めることができる。また、多心拍の平均値とインデックスビートから求めた値の間には、トラッキングの良・不良にかかわらず極めて良好な相関がある。さらに、内膜面の手修正が必要な症例に限り、インデックスビートから心機能を評価する方法は日常臨床に役立つ」と述べた。