東京女子医科大学/IoTを活用した都市型遠隔診療の実証研究を開始
東京女子医科大学とインターネットサービス会社であるポート社は、都市部における高血圧診療にIoTを活用した遠隔診療の有効性と安全性を実証するための臨床研究を共同で行うと発表し、9月6日にポート本社(東京・新宿区)で記者会見を開いた。
IoTを活用した遠隔診療の内容は、①患者は自動血圧計を用いて週3回以上自宅で血圧を測定し、スマートフォン等を介して測定データを随時サーバに送信。②担当医は、送られてきた同データを参照し、治療方針を決定。③担当医は、電話やメールで所見と治療方針を伝える。④担当医は、患者との意思確認により内服薬を処方する。薬はポートメディカルサービスにより、患者自宅に郵送する。
市原淳弘氏(東京女子医大高血圧・内分泌内科学教授)が、「IoTを活用した具体的な医療の取り組み」を講演した。同氏は、日本の高血圧患者4300万人のうち半数は未治療であり、高血圧患者を1年放置すると、降圧剤服用後に医療費は11%増加すると警鐘、IoTと遠隔診療の活用で自宅での血圧測定が取り入れられ、最適な血圧コントロールが可能と語った。
引き続き、谷田部淳一氏(東京女子医大高血圧・内分泌内科学准講師)が「高血圧治療における非対面型遠隔診療と従来型対面診療の比較試験」について講演。その中でIoTでの高血圧遠隔診療の期待される効果として、安全性・血圧値の精密な判断による良好なコントロール・通院や診察の待ち時間が不要になるための時間活用の効果などを挙げ、試験成果は将来の医療の進歩に貢献すると結論付けた。
伊藤恭太郎氏(ポート社執行役員・医師)は、ポートメディカルシステムでの血圧計アプリデモンストレーションを行い、最後に市原氏と春日博文氏(ポート社代表取締役CEO)が協定書に調印して終了した。