島津製作所/世界初、小型化に成功した光格子時計を発売開始(25.3.6)

 島津製作所は、3月5日に18桁精度に相当するストロンチウム光格子時計「Aether clock OC 020」(イーサクロック、以下、本製品)の受注を開始した。光格子時計は原子時計の一種で、現在の「秒」の定義の基準となっているセシウム原子時計に対して100倍以上の精度を実現する。18桁精度は100億年に1秒の誤差に相当し、光格子時計は次世代の「秒」の定義の有力な候補として注目されている。本製品は2024年11月に、装置体積250ℓの小型化に成功した装置で、光格子時計としては世界初の商用機となる。各国の標準機関や大学・研究所などに設置することで、時間基準としてだけではなく様々なフィールド・目的で使用できる。
 島津製作所は2017年から東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の香取秀俊教授らのグループと共同研究を開始し、翌年実施した東京スカイツリーでの一般相対性理論の検証実験では、光格子時計の制御システムを開発した。その後、搭載レーザーおよび本製品の開発も手掛け、小型化に加えてレーザーの堅牢性の向上、レーザー周波数の自動調整・制御技術の開発を実現した結果、世界初の製品化への道筋を付けられた。従来の光格子時計では、煩雑な調整業務が頻繁に必要であったが、本製品では作業者の負荷を大幅に低減できる。
 小型化で移設が容易になったことにより、様々なフィールドで一般相対性理論を利用した重力ポテンシャル測定に応用できる。例えば、数cm精度のプレート運動や火山活動による地殻の上下変動の監視、数時間から数年かけて起こる地殻変動(標高変化)の精密な観測、超高精度な標高差計測・測位システムの確立など、光格子時計は将来の社会基盤となる可能性を秘めている。本研究は2018年から、科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業「クラウド光格子時計による時空間情報基盤の構築」(JPMJMI18A1)の支援を受けて行われている。

製品名 ストロンチウム光格子時計 「Aether clock OC 020」
希望販売価格 5億円(税込) (システム構成により価格は変動します)
販売目標 国内外で3年間で10台

問い合わせ=島津製作所 コーポレート・コミュニケーション部 広報グループ
TEL:075-823-1110


その他の記事

保健医療福祉情報システム工業会/創立30周年記念講演会・賀詞交換会を開催(25.2.21)

 一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(以下、JAHIS)は、1月22日、東京會舘(東京・千代田区)で、昨年4月に迎えた創立30周年を記念し、特別講演会と賀詞交換会を行った。  第1部の冒頭、総務会長の下山赤城氏は、「1994年の発足当初172社だった会員が現在386社に増えた。この30年で大きく変化した情報化社会…

2025年日本国際博覧会大阪パビリオン/大阪ヘルスケアパビリオンでの体験をより豊かにするアプリ 2025年2月13日(木)より提供開始(25.2.13)

 公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオンは、2025大阪・関西万博の開幕2ヶ月前にあたる2025年2月13日(木)より、パビリオンの展示体験をより楽しめるスマートフォンアプリ「大阪ヘルスケアパビリオン公式アプリ」をリリース。 ダウンロードURL: 【iOS】 https://apps.apple.com/jp/app/id6670754800 【A…

アライドテレシス/安定性と信頼性の高い無線LAN環境を提供、JMSの輸液ポンプとの安定運用を実証(25.2.13)

 アライドテレシス(本社 東京都品川区)は、ジェイ・エム・エス(本社 広島県広島市)の協力のもと、同社製Wi-Fi 6対応無線LANアクセスポイト「AT-TQ6702 GEN2」と病院向けの輸液ポンプ「キュアセンス®IP-100」と「キュアセンス®輸液ポンプI P-100外部連携用通信ソフト」の接続検証を実施した。  ジェイ…

富士フイルム/World Cancer Dayへ協賛(25.1.30)

 富士フイルム(本社:東京都港区)は、国際対がん連合(UICC: Union for International Cancer Control)が主導する「World Cancer Day(世界対がんデー)」に、Visionary Partner(ビジョナリーパートナー)として2025から2027年までの3年間、協賛する。  毎年2月4日に定められているWorld Cancer Dayは、世界中でが…

島津製作所/世界最大級のAIコンペティション「Kaggle」で金メダルを獲得 上位1%に相当する「Kaggle Master」に昇格(25.1.27)

 島津製作所の分析計測事業部技術部イメージングGの金本和樹が、世界最大のAIのコンペティションプラットフォーム「Kaggle(カグル)」の「Child Mind Institute — Problematic Internet Use」(以下、本コンペティション)に単独で参加し、金メダルを獲得した。参加者3559チームのうち、8位に入賞し、コンペティション参…

富士フイルム/健診サービス事業の新拠点「NURA Global Innovation Center(ニューラ グローバル イノベーション センター)」をインドに開設(24.12.25)

 富士フイルム(本社:東京都港区)は、12月24日、健診サービス事業の新拠点「NURA Global Innovation Center(ニューラ グローバル イノベーション センター)」をインドのケララ州にあるコジコードにオープンする。今回オープンする「NURA Global Innovation Center」は、がん検診・生活習慣病検査サービスを提供する健…

第44回医療情報学連合大会/3800名以上の参加者が「デジタルヘルスの新未来」を論じあう(24.12.20)

 第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)が2024年11月21~24日、福岡国際会議場・福岡サンパレス(福岡市博多区)で開催された。大会長は中島直樹氏(九大)。同大会は、現地開催に加えオンライン配信を含むハイブリッド方式による開催となった。  22日に行われた開会式では、大会長の中島氏が挨…

米盛病院&シーメンスヘルスケア/高度な医療提供により地域貢献目指すパートナーシップ締結(24.12.20)

社会医療法人緑泉会とシーメンスヘルスケアは11月12日、緑泉会 米盛病院 米盛ラーニングセンター(鹿児島市)にて合同記者発表会を開催。両者が高度な医療提供による地域への貢献を目指し14年間のパートナーシップを締結したことを発表した。  冒頭、シーメンスヘルスケア代表取締役の櫻井悟郎氏が登壇し、「シーメンス…

NEC/医療DX推進を目指し「ヘルスケア生成AI活用プラットフォーム」を提供開始(24.12.20)

 NECは、病院経営の最適化や持続可能な地域医療の実現に向けた医療機関及び、関係機関におけるDX推進を目指し、地域医療における生成AI早期実装を支援する「ヘルスケア生成AI活用プラットフォーム」を2025年2月から順次提供開始する。また同時に、本サービスの拡充と新たな価値創造を様々なパートナーとともに実現する「B…

NEC/経口投与型の個別化がんワクチン「NECVAX-NEO1」の第Ⅰ相臨床試験の中間結果をESMO免疫腫瘍学会2024で発表(24.12.12)

 NECグループでAIによる創薬の臨床開発を手掛けるNEC Bio Therapeutics (NECバイオセラピューティクスは、固形がんにり患した患者を対象に、経口投与型の個別化がんワクチン「NECVAX-NEO1」と免疫チェックポイント阻害剤(CPI)を併用した第Ⅰ相バスケット臨床試験を実施している。同社はこのたび、ワクチン投与24週間後の…

ニコン/欧州分子生物学研究所と次世代の研究を支える技術開発パートナーシップを締結 (24.11.28)

 ニコン(以下、ニコン)は、欧州分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory、以下「EMBL」)と、技術開発パートナーシップを新たに締結した。 この協力関係によりニコンは、次世代の顕微鏡技術の開発を加速し、グローバルな研究コミュニティが直面する複雑な課題に対するソリューションを提供していく。 …

日本核医学会&日本核医学技術学会/学術総会&総会学術大会を合同開催、核医学の可能性を訴える(24.11.25)

第64回日本核医学会学術総会と第44回日本核医学技術学会総会学術大会が11月7日~9日の3日間、パシフィコ横浜 会議センター/展示ホールAで共同開催された。第64回日本核医学会学術総会の会長は橋本 順氏(東海大)、第44回日本核医学技術学会総会学術大会の大会長は森 一晃氏(虎の門病院)が務めた。大会テーマは「築く・…

NTTコミュニケーションズ/リアルタイム映像伝送等を利用した災害医療体制の強化に関する実証を開始(24.1121)

ドコモグループの法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開するNTTコミュニケーションズ(以下 NTT Com)は、NTTデータ経営研究所が設立したコンソーシアム(以下 本コンソーシアム)が実施する「徳島県におけるリアルタイム映像伝送等を利用した災害医療体制の強化に関する実証」(本実証)に参画する。本実証では、徳島県にお…

島津製作所/「Trinias series with SCORE Opera」がRed Dot Design Award Brands & Communication Design部門Interface & User Experience Designカテゴリーにて初受賞(24.11.1)

島津製作所の血管撮影システム「Trinias series with SCORE Opera」が、「Red Dot Design Award 2024」のBrands & Communication Design部門の Interface & User Experience Designカテゴリーにて受賞した。この部門での同社製品の受賞は初めて。 「Red Dot Design」は、ドイツのノルトライン・ヴェストファー…

キヤノン/「2024 年アジアデザイン賞」にてX線CT診断装置「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」銀賞受賞(24.11.1)

銀賞を受賞した「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」は、高機能化に伴い操作が複雑化しているCT検査のワークフローを、AI を活用して開発した自動化技術によりサポートするフラッグシップCTである。内蔵のキヤノン製カメラで撮影した映像をもとに患者の体位を検出し、ポジショニングを簡便に素早く自動で算出する。従来は手…

TOPへ