米盛病院&シーメンスヘルスケア/高度な医療提供により地域貢献目指すパートナーシップ締結

米盛病院&シーメンスヘルスケア/高度な医療提供により地域貢献目指すパートナーシップ締結

社会医療法人緑泉会とシーメンスヘルスケアは11月12日、緑泉会 米盛病院 米盛ラーニングセンター(鹿児島市)にて合同記者発表会を開催し、両者が高度な医療提供による地域への貢献を目指し14年間のパートナーシップを締結したことを発表した。
 冒頭、シーメンスヘルスケア代表取締役の櫻井悟郎氏が登壇し、「シーメンスヘルスケアにおけるパートナーシップの取り組みと、緑泉会様とのパートナーシップのご紹介」を表題に、まず、Siemens Healthineersの概要と同社が進めてきたイノベーションの歴史を紹介した後、同社が提供する医療機器インフラ提供型サービス(MES)を次のように解説した。「病院が資産を保有するのではなく、当社が資産を提供して施設はその利用料を支払うサービスで、施設側には資金計画を立てやすいといったメリットがある」とし、「14年間、MESを提供しながら、米盛病院と共に診断・治療ワークフローの改善や時機に適った最新の医療機器を提供し、同院が地域医療に貢献できるよう支援していきたい」と両者の展望を語り、次いで、同パートナーシップによって導入される同社の医療機器とそのロードマップを紹介した。

櫻井悟郎氏

 なお、櫻井氏の発言中にSiemens Healthineersドイツ本社のEnterprise Services Global HeadであるJoao Seabra Ferreira Pinto氏がコメントを挟み、「米盛病院は日本初のESグローバル・リファレンスサイト*として登録する予定である。14年間のバリューパートナーシップとリファレンスサイトとしての活動を通じ、病院経営に関するソリューション、経験などを積極的に投入して、ワークフローや臨床的なアウトカムの向上に取り組んでいきたい」とパートナーシップ活動に向けた抱負を述べた。

Joao Seabra Ferreira Pinto氏

医療課題解決への強力な一助と期待

 次いで「緑泉会及び米盛病院の救命救急医療・地域医療の取り組みと、今回のパートナーシップにかける思いについて」を表題に緑泉会 米盛病院 理事長・院長の米盛公治氏が解説した。まず、同院の概要と診療実績を説明。同氏は、ハイブリッドERや民間救急ヘリ「Red Wing」を運用して年間6500件以上の救急患者受け入れていること、2024年8月には救命救急センターの指定を受けることなど、同院の救急医療での実績を紹介。さらに、急性期医療を担う病院として年間6000件を超える手術件数及び、その内4600件以上が整形外科での実績であることを述べ、同院が整形領域に強い施設であり、また、それ以外の領域でも高度な医療を提供している点を訴えた。その後、パートナーシップ締結については「進行する高齢化による救急搬送件数の増加、加速する少子化がもたらす働き手不足への対応と職員のワーク・ライフ・バランスの実現という医療課題を解決する強力な一助になると考えた」と経緯を説明。さらに「医療機器のリーディングカンパニーであるシーメンスの技術・ノウハウを活用しての高度医療の提供や患者さんの治療環境の改善、スタッフの業務効率の向上や働きやすい職場環境の実現など、一層の医療の質の向上による更なる地域医療への貢献を期待している」とパートナーシップへの期待を語った。

米盛公治氏

「CIARTIC Move」を高く評価

 次に「先進機器の提案によるシーメンスヘルスケアの貢献について」を表題に、同社 アドバンストセラピー事業本部 事業本部長の荒川泰一郎氏が解説。同パートナーシップによって導入される医療機器のうち、特に日本稼働第1号機として8月に導入されたモバイルCアーム装置「CIARTIC Move(シアティックムーブ)」に言及し、その特徴と有用性を説明。「同装置は、あらゆる方向に浮遊するような動きを可能にするホロノミックホイールを装備し、パワーアシスト機能と相俟って装置を容易に動かすことができるほか、ポジションアシスト機能など、術中の撮影時間を短縮する機能を搭載していることで、手術室スタッフの負荷を軽減し、検査に必要な時間や手間、人員を効果的に削減できる」と説いた。

荒川泰一郎氏

なお、同氏の説明中に、Siemens Healthineers本社のClinical Segment Surgery Global HeadであるPeter Seitz氏が登壇し、「『CIARTIC Move』は手術室で優位性を発揮する様々なテクノロジーや性能を搭載している。米盛病院から、同装置による実績や知見を世界に発信してほしい」とコメントした。

Peter Seitz氏

 最後に、同院副院長の鈴木 勝氏が「自走式外科用モバイルCアームイメージングシステム『CIARTIC Move』導入後の感想と今後の期待について」を解説した。同氏は、同装置のポジションアシスト機能を「アーム位置を記憶できるので位置合わせのための透視回数が減り、職業被ばくが低減する他、画像の再現性が高いので診療放射線技師の熟練度に関係なく良質な画像を得られることができるのが高く評価できる。また、アームの周囲にケーブルがなく、干渉センサーを搭載しているので、安心・安全な操作も可能だ」と同装置の有用性を示した。自走式の優位性についても触れ、「どの手術室でも運用でき、手術室のフレキシブルな運用が可能な点にも期待している」と同装置への思いを語った。

鈴木 勝氏

*ESグローバル・リファレントサイト:シーメンスとバリューパートナーシップを契約中で、病院経営に関する様々な経験や知見を積極的に発信したい意向を持つ施設が登録。2024年10月現在、6 ヵ国8施設が登録中。


その他の記事

GEヘルスケア・ジャパン/ セラノスティクスへの期待と国内における課題を解説(24.11.25)

GEヘルスケア・ジャパンは10月30日、Web上でONLINEメディアセミナー「がん治療の新たな展望-セラノスティクスの新たな展望と課題」を開催した。 同セミナーの2回目となる今回は、セラノスティクスによる診断・治療の見える化と国内導入の動向についての講演が行われた。 同社執行役員の松葉香子氏の挨拶に次いで、…

コネクタソン/23社が相互接続性を確認、来年は欧州との共同ワークショップレポート(24.11.25)

日本IHE協会は10月21~25日の5日間、東京都立産業貿易センター台東館(東京・台東区)で「IHE-J 2024コネクタソン」を開催した。 コネクタソンとは、IHE-Jのテクニカルフレームワークを実装した機器・システムの相互接続性を確認するために毎年実施しているもの。今年は、放射線検査(Radiology)、内視鏡(Endoscopy)…

エム・シー・ヘルスケア/次世代に向けた持続的な医療のあり方を討議(24.11.25)

エム・シー・ヘルスケアは11月1日、品川インターシティホール(東京・港区)にて、「第25回病院の経営を考える会」を開催した。今回のテーマは「次世代に向けた持続的な医療のあり方」。午前中に3ワークショップを同時開催し、午後は講演1、2それぞれの終了後に進行役と登壇者によるディスカッションが行われた。 ワー…

GEヘルスケア・ジャパン/セラノスティクス医療啓発と普及目指しセミナー開催(24.10.21)

GEヘルスケア・ジャパンは9月20日、Web上でメディアセミナー「がん治療の新たな展望-セラノスティクスの新たな展望と課題」を開催した。 セラノスティクス(Theranostics)とは、治療(Therapy)と診断(Di-agnostics)を組み合わせた医療技術であり、放射線を使った薬剤で病気を診断しながら、別の放射線を用いた薬を…

日本放射線腫瘍学会/第37回学術大会の概要と肺がんへの最先端治療技術を紹介(24.1010)

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)は9月19日、トラストシティ カンファレンス京橋(東京・中央区)で、学術大会前の恒例のプレスカンファレンスを開催した。今回は「肺がんへの放射線治療」をテーマに、同学会の主要メンバーが講演を行った。 初めに、同学会理事長の宇野 隆氏(千葉大)が挨拶し、放射線治療の現状と学会…

がん対策推進企業アクション/セミナーリポート(24.9.21)

がん対策推進企業アクション(厚生労働省委託事業)は、8月27日、神田明神文化交流館(東京・千代田区)にて、恒例のメディア向けセミナーを開催(オンライン含)。「がん教育の意味~ヘルスリテラシー最低国からの脱出に向け」を演題に、同事業のアドバイザリーボードメンバーの中川恵一氏(東大)が講演した。 同ア…

国際モダンホスピタルショウ2024レポート(24.8.15)

医療・介護・福祉関連製品を展示した国内最大のイベント「国際モダンホスピタルショウ2024(主催:一般社団法人日本病院会/一般社団法人日本経営協会)」が、7月10日から12日までの3日間、東京・有明のビッグサイトで開催された。今回のテーマは「健康・医療・福祉の新たなステージ ~DX推進による、確かな進化へ~」。…

JRC/「JRC2024」国際CTシンポジウム等も開催  ITEM2024は延べ来場者数約1割増で活況を呈す(24.5.1)

 放射線医療関連の国内最大イベント「JRC2024」が、4月11~14日の4日間、例年どおりパシフィコ横浜で開催された。主催は、一般社団法人日本ラジオロジー協会で、第83回日本医学放射線学会(JRS)総会(会長:陣崎雅弘氏=慶大)、第80回日本放射線技術学会(JSRT)総会学術大会(大会長:根岸 徹氏=東京都立大)、第127…

第35回関東医療情報技師会/診療情報標準化の重要性を各分野から改めて訴える(24.4.22)

 関東医療情報技師会は、4月6日、東京医科大学病院9階 臨床講堂(東京・新宿区)において、第35回関東医療情報技師会を開催した。「関東医療情報技師会」は、年に4回程度、勉強会を開催しており、その35回目となる。今回は医療情報技師だけでなく、ベンダや医療関係者にも広く門戸を開放した勉強会であり、約150名が参加…

島津製作所/恒例のレントゲン祭─リアル開催(2024.2.20)

 島津製作所は、毎年ヴィルヘルム・レントゲン博士の命日に博士の功績を称え遺徳を偲ぶ「レントゲン祭」と記念講演会を、2月9日、本社(京都・中京区)にて開催した。今回は101回目で、4年振りのリアル開催となる。  冒頭、医用機器事業部長の園木清人氏は式辞を述べた後、同社の最新トピックスを紹介。「高齢化、QOL向…

保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)/恒例の新春講演会&賀詞交換会を4年振りに対面で開催(2024.2.20)

 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は、1月23日、年初恒例のJAHIS新春講演会および賀詞交換会をイイノホール&カンファレンスセンター(東京・千代田区)で、対面方式での開催を4年振りに行った。  第1部となる講演会では、JAHIS総務会長の下山赤城氏の挨拶の後、同運営会議議長の大原通宏氏が「2024年の年頭に…

メドレーとグロービス・キャピタル・パートナーズ/「なぜいま医療DXが必要なのか?~医療DXの現在地とこれから~」セミナーレポート(2024.2.20)

 メドレーとグロービス・キャピタル・パートナーズは、1月18日、メドレー本社(東京・港区)にて、メディア向けセミナー「なぜいま医療DXが必要なのか?~医療DXの現在地とこれから~」を開催した。  同セミナーには両社から1名ずつが登壇。最初に、グロービス・キャピタル・パートナーズの福島智史氏が「医療DXを取り…

日本放射線腫瘍学会第36回学術大会レポート(2023.12.15)

■JASTR02023─展示会場にも多くの関係者が集う  11月30~12月2日、日本放射線腫瘍学会(パシフィコ横浜ノース)に合わせ、展示会も開催され、多くの関係者を集めた。以下に、小誌が注目する企業を紹介する。  ビードットメディカルでは陽子線治療装置の模擬装置が展示された。同社の古川氏によれば、「数年後の実用化」…

第43回医療情報学連合大会レポート(2023.12.15)

■テーマは「医療情報の安全な流通と活用」―時代を反映した講演が人気博す  第43回医療情報学連合大会(第24回日本医療情報学会学術大会)が2023年11月22~25日、神戸ファッションマート(神戸市東灘区)で開催された。大会長は松村泰志氏(大阪医療センター)。同大会は、現地開催に加えオンライン配信を含むハイブリ…

キヤノン・キヤノンマーケティングジャパン/キヤノンEXPOを8年ぶりに開催

 キヤノンとキヤノンマーケティングジャパンは、「Canon EXPO 2023」を、10月17~20日、東京と横浜で開催した。「Canon EXPO」は、2000年に開始し5年ごとに開催されてきたイベントであるが、2020年はコロナ禍の影響で中止になったことから、今回が5回目になる。キヤノングループの新製品群や先進技術、ソリューションをビ…

TOPへ