富士通/ドラッグ・ロス解消に向け、治験デジタル化加速システムを構築(24.9.20)
富士通は8月26日、ステーションコンファレンス川崎(川崎市)でメディア向け説明会を開催。本説明会では、海外で承認された新薬が日本で使用できない所謂“ドラッグ・ロス”の課題解決に向け、製薬企業や医療機関と共に、治験領域で医療データを活用したエコシステムを構築して、国際共同治験を日本に誘致する取り組みを紹介した。
冒頭、同社執行役員の大塚尚子氏が登壇し、ドラッグ・ロス解消に向けた同事業の立ち上げについて解説。同氏は、新事業が社会課題の解決を進める全社的事業モデル「Fujitsu Uvance」の下、人々のウェルビーイングの向上に「Healthy Living」においての取り組みであると述べ、「データとAIを組み合わせたデータインテリジェンスでアプローチし、医療データの収集・加工を標準化するなどして、実効的な治験環境を整備し、日本で実施される国際共同治験数を大幅に増やしたい」と同事業に対する抱負を述べた。
富士通と戦略的パートナーシップ契約を結び、同事業に世界最先端の治験プラットフォームを提供する米国Paradigm Health社CEOのKent Thoelke氏は「富士通と提携し、日本全国の病院に当社の治験プラットフォームを展開することにより、日本におけるドラッグ・ロス解消の実現に貢献できれば光栄に思う」と述べ、今回の事業の意義を強調した。
次いで、国立がん研究センター東病院 副院長の後藤功一氏は、遺伝子変化を調べるなど、現在の肺がん治療における個別化医療の進歩と、2013年同院を中心に肺がんの患者に有効な治療薬の提供を目的に設立された、がんの遺伝子変化を調べる産学連携プロジェクト「LC-SCRUM-Asia」を紹介。今回の事業について「治験等に必要な膨大な作業を効率化してくれることに大いに期待している」と高い期待感を示した。