島津製作所と兵庫医科大学/潰瘍性大腸炎の新たな評価法を開発 同社製液体クロマトグラフ質量分析計での色素剤の血中濃度から病態を定量評価(24.9.13)

島津製作所と兵庫医科大学消化器内科の福井広一教授は、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を活用し、色素剤であるインジゴカルミンの血中濃度から、潰瘍性大腸炎や過敏性腸疾患症候群の病態の指標である腸管粘膜透過性を評価する手法を開発した。今回開発した手法は、患者の負担軽減に加えて、病態の定量的な評価を実現して、原因究明や治療法開発への貢献が期待される。本研究成果は、当社が2019年に兵庫医科大学に開設した産学連携講座「疾患オミクス解析講座」で開発され、第49回医用マススペクトル学会(9月13~14日に島津製作所本社にて開催)で発表する。

潰瘍性大腸炎の国内患者数は約20万人、過敏性腸疾患症候群の国内潜在患者数は人口の約10%の1,200万人といわれている。症状が重くなると腹痛や頻便により日常生活に支障をきたす。原因は明確ではなく、腸バリア機能障害による腸管粘膜透過性の高まりで生じる「腸もれ(Leaky Gut)」が一因と考えられている。腸もれによって消化中の食品抗原や腸内細菌およびその生成物が体内に侵入して発症するとみられているものの、生きた人体における粘膜透過性の定量的な評価手法はこれまでなく、疾患機構と病態解明の研究は進んでいなかった。これまで糖類の内服後に尿に排泄される濃度を測定して粘膜透過性を評価するラクツロース・マンニトール法がほぼ唯一の粘膜透過性評価法として用いられてきたが、この方法では1日分の蓄尿が必要で、被験者の負担が大きく、消化管運動や食事、腎機能が測定値に影響を及ぼすことなどが問題点として挙げられていた。

研究グループは「内視鏡検査で用いたインジゴカルミンが検査後、尿中に排出される」という現象に着目して、この色素剤を用いた粘膜透過性評価法を検討した。検査でインジゴカルミン散布後にその血中濃度を潰瘍性大腸炎患者11名と健常者5名について病態との関連を評価した結果、両グループで濃度に有意な差が見られ、本手法の有用性が示唆された。インジゴカルミンの血中濃度測定には同社の液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060」が用いられた。従来の潰瘍性大腸炎や過敏性腸疾患症候群の治療では、薬の投与後の自覚症状で治療効果を測ってきた。新手法が実用化されると、患者の負担が抑えられる効率的な治療につながる。島津製作所と兵庫医科大は本手法の臨床研究を継続し臨床的意義を確立させる。今後、島津製作所は、兵庫医科大と協力して本手法の臨床的エビデンスの取得を進め、創薬研究を支援する研究用機器の開発や臨床検査に使用できる医療機器の開発を目指す。

 

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