国際モダンホスピタルショウ2024レポート(24.8.15)
医療・介護・福祉関連製品を展示した国内最大のイベント「国際モダンホスピタルショウ2024(主催:一般社団法人日本病院会/一般社団法人日本経営協会)」が、7月10日から12日までの3日間、東京・有明のビッグサイトで開催された。今回のテーマは「健康・医療・福祉の新たなステージ ~DX推進による、確かな進化へ~」。また、7月31日まで、オンラインでの展示も併せて開催された。今年は出展者が約300社、3日間の来場者数は昨年を2000人以上上回る3万5408名を集め、盛況なイベントとなった。
会場では、これまでの医療情報システムゾーン、医療機器ゾーン、健診・健康増進ゾーン、看護ゾーン、施設環境・運営サポートゾーン、介護・福祉・リハビリゾーンでの企業出展に加え、ナースライフバランス研究所主催による「ナースまつり2024」も併せて行われた。
多くの来場者が訪れた医療情報システムゾーンでは、地域医療や多職種連携を支える情報ネットワーク製品が充実。また、AI技術を組み込んだシステムが多数出展されたほか、昨今話題となっているランサムウェア対策などのセキュリティに関する機器・システムの展示に来場者の関心が集まっていた。
主な出展企業のブースの様子については、小誌ホームページ(https://www.newmed.co.jp)にて掲載している。
同展示会では、オープニングセッション「変革の時代を向かえて病院マネジメントと病院DX」で日本病院会 会長の相澤孝夫氏(社会医療法人財団 慈泉会 理事長)が講演。この他にも会場では、各種セミナーが開催されたが、小誌が注目した日本医療機器学会とのタイアップセミナーを紹介する。
同セミナーは、臼杵尚志氏(香川大学)による「医療現場の“見える化”は何をもたらすか?-物の可視化が目指してきたこと、人の可視化が目指すこと」。臼杵氏は「医療資源、つまりヒト、モノ、カネの見える化は、緻密な原価計算により、病院収支明確化・労務改善にも寄与する。その上で、時間の概念は重要であり収支バランス、心理的効果にも関与するものである。具体的には“モノ”、つまり原理や流通の見える化は、モノの節約や医療安全、“ヒト”資源への貢献に期待できる。なお、“ヒト”の見える化は、複雑な要因から困難だが、資格取得は1つの指標として有望だ。医療機器に関しても、医療安全や業務改善に正確な相互情報伝達は極めて重要である。そのことを踏まえて、次世代機器の至便性のためにも“MDIC(医療機器情報コミュニケータ)”認定制度の有効利用に注目すべきだ」と述べ、医療現場におけるさまざまな可視化の重要性について強調した。
展示会初日の7月10日には「病院広報アワード2024ファイナル・表彰式」が開催された。「病院広報アワード」は、優れた病院広報事例を表彰するもので、病院広報の事例を広く集めて共有し、優れた病院を表彰することで、病院広報の活性化を目指すもの。今年は全国から252の施設がエントリーした。
自院の発展や地域医療への貢献のため、院内外のステークホルダーとのコミュニケーションを積極的に推進している経営者を表彰する経営者部門では、医療法人社団洛和会 洛和会音羽病院が、病院広報の実務において、自院の発展につながるコンテンツ制作や情報発信等を行っている病院の広報担当者を表彰する広報担当部門では、医療法人神甲会 隈病院が大賞を受賞した。
次回の「国際モダンホスピタルショウ2025」は、2025年7月16日(水)~18日(金)の3日間、東京ビッグサイト開催の予定である。