フィリップス・ジャパン/See beyond to a new perspective on patient care
https://www.philips.co.jp/healthcare
フィリップス・ジャパンは、「See beyond to a new perspective on patient care~つながることで、新しい価値を創造し、確実性の高い医療へ~」を今回の展示テーマに掲げ、放射線領域において全てのデータを連携させることで診療から治療をシームレスにつなげる包括的なソリューションの意義と価値を提案した。ブースの展開としては、CTエリア、MRエリア、ヘルスケアITエリア、超音波診断装置エリア、Image Guided Therapyエリアに分けて構成した。
●バート・ファン・ムールスEVPがフィリップスの戦略と日本市場での展開を解説
初日に行われたプレスツアーでは、ロイヤルフィリップス(本社:オランダ)のバート・ファン・ムールスEVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)が来日し、画像診断・イメージガイド下治療領域におけるフィリップスの戦略と日本市場の重要性を報道陣に向けて解説。同社の戦略については、世界中の画像診断領域における共通の課題として「医療従事者の人員不足、増加する医療情報のデータ管理、非効率なワークフロー、コストの増加」などを挙げ、これらの克服を我々の今後の戦略とすると説明した。一方で、「日本では、医療従事者が先に述べた共通の課題克服のためにデジタル技術、AI、オンライン診療に注目しており、21世紀の医療課題への対応をリードしている」ことを示唆。その日本市場に向けて、「画像診断/超音波/血管造影装置などのDiagnosis&Treatment、モニタリング/AEDなどのConnected Care、そしてPersonal Healthといった分野において、従来以上に深くコミットメントしていく」とした。
バート・ファン・ムールス氏
●【新製品】プレミアムCT装置「CT5300」
ムールスEVPは、日本市場へのコミットメントの最新事例として、実機を展示したプレミアムCT「CT5300」についてプレゼンテーションした。
本年4月に日本で発売した「CT5300」は、高齢化が進む今後の日本で予測されている“心不全パンデミック”を踏まえて、心臓CTの確実性と低被ばく撮影を追求したAI技術を搭載。核となる技術は新開発の「Precise Cardiac」の採用で、心臓検査でしばしば発生する画像のブレを自動的に抑え、心臓CTの画質向上に貢献する。また、AI技術「Precise Image」を使用することで、心臓CTの根本的な画質を向上させると共に、大幅な被ばく低減を果たした。また、遠隔環境での医療従事者間のコミュケーションを可能とする新しいソリューションである「CT Collaboration Live」を導入しており、これにより会話やチャットのみならず、コンソール画面の共有や操作に至るまでリアルタイムでの遠隔操作を可能とする。さらに、CT検査の準備・撮影・診断・インターベンションに関わる領域まで幅広くAI技術が支援する「Smart Workflow」を新採用し、自動化されたワークフローにより、検査時間の短縮や少人数でのCT検査を実現。最新の臨床技術を常に利用できるプログラム「Technology Maximizer」により、10数年先も最新のCT検査を実施できる支援体制を整備した。
なお、CTのコーナーでは2層検出器「NanoPanel Prism」を搭載した「Spectral CT7500」も紹介。同装置の病変の明瞭化やコントラストの向上、画像のカラーマップ、そして定量解析を可能とする「スペクトラル画像」を実地で披露した。
プレミアムCT装置「CT5300」
●【初展示】3.0T MRI「MR7700」
MRエリアでは、最先端の分子イメージングを可能とする研究用システムの「MR7700」を初出展した。「MR7700」は、臨床研究においてプロトンだけでなく多核種(Multi Nuclei)のイメージングやスペクトロスコピーにも対応可能であり、6つの異なる核種(1H、31P、13C、23Na、19F、129Xe)への適応が可能。研究用に開発された装置であるが、臨床で活用することもできる。
同エリアでは、本年3月に発売した1.5T MRI「MR5300」専用の「Smart Fitコイル」も展示。「Smart Fit TorsoCardiacコイル1.5T」は1.2kg、「Smart Fit Shoulderコイル1.5T」は1.1kgの軽量設計が特徴で、これにより検査中の患者の身体的負担を軽減する。
その他、同じく本年3月発売の「Pediatric Coachingソリューション」のユニットも出展された。このソリューションは、遊びをベースとしたアクティビティを通じて、MR検査を受ける小児患者やその保護者が事前に検査の仕組みや流れを理解できるようにし、検査中は楽しい動物のキャラクター映像や音楽を使ってリラックスした検査環境を提供することで、小児患者の検査に対する不安や恐怖心の低減を支援する。なおデンマークの研究では、同ソリューションの使用により、4~6歳の小児患者のMRI検査における全身麻酔の使用が57%から5%に低減したことが報告されている。
3.0T MRI「MR7700」
●ヘルスケアIT
ヘルスケアITのエリアでは、マルチモダリティ解析ワークステーション「IntelliSpace Portal V12」や医用画像管理システム「Vue PACS」などが来場者の注目を集めていた。
「IntelliSpace Portal V12」は、最新ソフトウェアのV12を搭載。「Cardiac MR Analysis」の心機能解析では、LVとRVの両方の短軸画像をAIで完全自動セグメンテーションし、さらに拡張期と収縮期の自動位検出を可能とする。結果は自動的に処理され、20秒以内に画像に表示される。LV及びRVの機能解析は、従来の20分から5分以内に短縮された。
また、「4D Flow MRI」には2種類の解析機能を採用。うち「4D Flow Artery」は大動脈血管を対象に、3Dによる血流の視覚化とFlowの計測が行え、「4D Flow Heart」は心臓弁にフォーカスしたFlowを可視化できる。その他、「MR Cass Strain」はFeature Tracking法を活用し、シネ画像より3方向での心機能評価が可能。拡張型心筋症(DCM)や肥大型心筋症(HCM)、収縮性心筋症(RCM)、心臓弁膜症のある患者の診断とモニタリングを支援する。ブースに設置されたディスプレイでは、AI搭載によって効率化された最新のCardiovascular領域での解析が閲覧できた。
医用画像管理システム「Vue PACS」は、検査画像の比較表示からMPR・3D画像の作成や解析までを実現したオールインワンのPACSビューワである。Automatic RegistrationやDisplay Protocolなど、読影を効率化する「View PACS Diagnostic Viewer」を搭載し、MPR、MIP、VRなどの3D機能や、マンモグラフィ、PET/CT読影機能も内蔵する。また、読影順序や割り当てを自動制御する「Workflow Orchestrator」、ビューワと密に連携するレポーティング機能も有し、読影における質と効率の両立を支援する。なお、「Vue PACS」はVNAとしても運用でき、クラウドと組み合わせた構成も提供可能としている。
●【新製品】超音波診断装置「EPIQ」「Affiniti」の最新ソフトウェア「VM10」
超音波診断装置のエリアでは、本年3月に発売された超音波診断装置「EPIQ」及び「Affiniti」の最新ソフトウェア「VM10」と、最新マイクロリニア「mL26-8トランスジューサ」が注目を集めた。
「VM10」は、ピクセル単位の最適化アルゴリズムによって、自動かつ精密に視野全体の輝度バランスを調整する「Next Generation AutoSCAN」、身体の深部へ行くに従って信号強度を緩やかに自動で増強または減弱する「AutoSCAN Penetration」、視野深度を変更した際に画面上の特定の位置に焦点域を維持するように自動でフォーカス調整を行う「Auto Focal Zone」という3つの新機能から成る自動画像調整ツール「AutoSCAN Assistant」を搭載、自動でより精密な画像調整を可能とする。また、血流イメージに3Dのようなレンダリングを採り入れた新しい表示法の「Flow Viewer」を採用。全てのカラーモード(Color、CPA、Directional CPA、MFI、MFI HD)で使用可能であり、血流に立体感を与えることで従来のカラー画像に比べて血管の鮮明度や境界の明瞭性に優れ、小血管の分岐と隣接血管の視認性が向上する。ブースのディスプレイでは、「AutoSCAN Assistant」や「Flow Viewer」をON/OFFにした際のワークフローの違いなどをデモ機でみられるようにしていた。
「mL26-8トランスジューサ」は、フィリップスのポートフォリオの中で最も高い周波数となるトランスジューサで、8~26MHzの周波数をカバー。従来製品と比べて空間分解能が36%、透過性が64%向上し、真皮のように非常に浅い領域から乳腺・甲状腺や表在血管、整形、新生児、眼球など、幅広い臨床領域で明瞭な画像を取得することができる。軽量で握りやすいハンドルデザインも特徴の1つで、狭いウィンドウからのスキャンや、小さい臓器へのアクセスを容易にする。その他、ケーブルを従来品より30cm長くすることで、手術室の清潔野や保育器などで優れた汎用性を発揮する点も特徴となる。
最新ソフトウェア「VM10」を搭載した超音波診断装置「Affiniti」
●【初展示】移動式X線撮影装置「Zenition 30」
Image Guided Therapyのエリアでは、2023年9月に発売した移動式X線撮影装置「Zenition 30」の実機を初展示した。手術室における治療に必要な意思決定を支援する操作性と柔軟性を兼ね備えており、電磁式Cアームロック/解除ボタンとハンドルを術者(医師)側に配置して、術者からのアームの操作性を向上させた。また、症例ごとに最適な画質と線量を調整してプリセットする「Japan Craft IQ」を標準で採用している。
移動式X線撮影装置は他に上位モデルの「Zenition 70」を出展。フラットディテクタシステムを備えており、低被ばくと高画質の両立、長時間にわたる複雑な手技にも対応するパワーを有していることが特徴。Cアームスタンドには15インチのタッチスクリーンモニターを装備し、術者とオペレーターが同じ画像を共有できるとともに、X線量の調節や画像処理など術中に必要な全ての操作を直感的に、かつ指先1つで行えるように配慮している。
移動式X線撮影装置「Zenition 30」