バイエル薬品/Clear Direction-From Diagnosis to Care.
バイエル薬品は、新しいコンセプトの造影剤自動注入器や最新のAI画像診断支援技術などを展示。診断からデータ管理に至るまでの包括的なソリューションを提供するプロバイダーでもあることを、来場者にアピールした。
●【初展示】造影剤自動注入装置「MEDRAD Centargo CTインジェクションシステム」
今回のブースの主役となったのは、2023年に発売され、ITEM初出展となる新しい造影剤注入装置「MEDRAD Centargo CTインジェクションシステム」である。シリンジ製剤を使用しないCT用の造影剤自動注入器で、24時間連続で複数患者に使用できる専用の消耗品デイセットと、患者ごとに交換するPatient Lineを採用。エアマネジメントをはじめ従前は手動で行っていた作業の自動化により、インジェクターのタッチタイムの削減を実現する。操作は簡単で、装置の左端のホルダーに生理食塩水を中央と右端のホルダーに造影剤をセットすると、専用のデイセットに充填される。検査が終わると、ボトルホルダーに取り付けられた製剤からそれぞれ注入した量をデイセットに自動補充する。また、毎症例で交換する消耗品は患者ラインのみで済み、しかも装着はワンタッチで行える。安全性にも配慮しており、ライン内のエア混入の自動検出や、患者ラインへの2ヵ所の逆流防止弁の装備などを実施。さらに、体重や撮像部位、心機能など患者1人ひとりの状態を考慮した注入プロトコルの設定、注入履歴の自動保存、RISとの接続による情報連携などを実現した。その他、検査室と操作室のいずれからでも装置を操作できることも訴求点である。
ブースではMEDRAD Centargoの実機を5台展示、パネルで製品の特徴を紹介して、来場者に向けて装置の利便性と先進性をアピール。さらに、医療放射線管理システムの「Radimetrics」と連携させ、線量情報と造影検査情報を一元管理する運用も紹介した。同社スタッフは、「海外ではシリンジ製剤を使用しないCT用自動注入器の普及が進んでおり、現在約1500台が稼働している。使いやすさはもちろん、使用後のごみの量の削減を図れることも好評の一因。働き方改革やタスクシフトに貢献する『MEDRAD Centargo』の普及を、日本でもぜひ進めていきたい」とコメントしていた。
造影剤自動注入装置「MEDRAD Centargo CTインジェクションシステム」
●デジタルソリューションコーナー
デジタルソリューションのコーナーでは、造影剤注入装置と連携させた医療放射線管理システム「Radimetrics」のほか、胸部CT画像の読影を支援する「Plus.Lung.Nodule」と胸部単純X線画像の読影を支援する「Plus.CXR」、そして腹部領域MRI画像の読影を支援する「Cal.Liver.Lesion」を展示した。
2023年に登場した「Plus.Lung.Nodule」は、肺野内の2~30mmの円形または紡錘形、あるいは辺縁不整なCT値上昇領域及び縦隔や肺門部等のROI(Region Of Interest)を表示する。また、非造影CTなどでリンパ節の視認性が不良な場合でもROIの表示を可能とし、さらに背景修飾や手術後の切離部分などROIの対象が不明瞭な場合でも利用できる。DICOM Viewerなど既存の読影環境で利用可能で、かつさまざまなCT画像に対する処理を行えることも、同システムの特徴である。
「Plus.CXR」は「Plus.Lung.Nodule」の追加機能で、ディープラーニングの技術を用いて胸部単純X線画像上の信号値を解析し、ROIを表示する。肺野内において吸収値が高い領域のROIを表示し、さらに心拡大や心肥大の診断基準であるCTR(Cardio-Thoracic Ratio)を自動で計測すブースでは、第1肋骨に重なる病変、左室背側に重なる病変、通常の肺野結節が存在する症例の「Plus.CXR」処理前の画像と処理後の画像比較や、同一症例のCT画像の1画面表示による読影のしやすさをアピールしていた。
「Cal.Liver.Lesion」は、同社がHACARUS社と共同開発したAIを活用したオンプレミス型の画像解析ソフトウェア。標準的なEOB・プリモビスト造影MRI検査プロトコルで撮像された画像から、周囲と比べて信号値の異なる領域を自動抽出しカラーマップを作成することで視認性の向上を図り、放射線科医の読影を支援する。ブースでは、周囲と比べて信号値の異なる度合いを0.0~1.0で表し、0.5以上の領域をカラースケール表示したMRI画像が確認できた。
画像解析ソフトウェア「Cal.Liver.Lesion」
●循環器血管撮影用造影剤注入装置「Arcatena」
ブースでは、2023年1月の発売から50台以上を納入した循環器血管撮影用造影剤注入装置「Arcatena」も来場者の注目を集めた。同装置は造影剤と生理食塩液が同時注入でき、また生理食塩液でのハイフローフラッシュが可能。さらに、シリンジやチューブキットはスピーディかつ直感的に装着できる点も特徴として挙げられる。操作のワイヤレス化により、術者の操作範囲が制限されずカテ台上の術環境をクリーンに保持できることもトピックである。同社スタッフは、ハンドコントローラーの使い勝手の良さもアピールしており、「日本で開発されたもので、多くの医療従事者の実証テストを踏まえて形や大きさ、スイッチの感触などを決めて設計した」と語っていた。
「Arcatena」インジェクターシステム