富士フイルムとアストラゼネカ/肺がんの化学放射線療法の過去症例を検索できる医療情報システムを共同開発(24.4.10)
富士フイルム(本社:東京都港区)とアストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区)は、切除不能なステージIII非小細胞肺がん(Non-small cell lung cancer、以下、NSCLC)に対する化学放射線療法(Chemoradiotherapy、以下、CRT)の過去症例を検索できる医療情報システム(以下、本システム)を共同で開発した。
CRTは、がんの治療法の一つで、放射線療法と化学療法を同時に組み合わせる治療法である。肺癌診療ガイドラインにおいて、全身状態が良好な場合の切除不能なステージIII NSCLCの治療法として、根治を目的としたCRTが推奨されている。近年の放射線治療の高度化や免疫チェックポイント阻害薬の登場による治療法の進展に伴い、切除不能なステージIII NSCLC患者にとってCRTの重要性がますます高まっている。しかし、放射線治療計画の作成は、ステージIII NSCLCの腫瘍の大きさとリンパ節転移の位置のパターンが多岐にわたること、また、放射線の影響による肺臓炎などの有害事象を引き起こさないようにする必要があることから難しく、医療現場の負担となっていた。
今回、富士フイルムとアストラゼネカが共同で開発した本システムは、両社が2021年より共同で開発を進めてきた医療情報システムで、切除不能なステージIII NSCLCに対するCRTの過去症例の検索に加え、放射線治療計画の表示が可能。アストラゼネカが14の医療機関からNSCLCに対してCRTが適用された約1900症例の放射線治療計画の情報を収集し、富士フイルムがその情報のデータベース化および検索機能の開発を行った。本システムは、医師がCT画像を入力し腫瘍の位置や検索条件を指定すると、データベースから腫瘍の中心の相対位置が近い過去症例を検索し、医師が参照したい症例の放射線治療計画の情報を表示して、医師による放射線治療計画の作成をサポートする。
ステージIIIのNSCLCについて
世界で肺がんと診断される患者は年間248万人と推定されている。肺がんは男女ともにがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めている。肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)に大別され、肺がん患者の80~85%がNSCLCに分類される。非小細胞肺がんと診断される患者さんの約3人に1人は、ステージIII(局所進行)であり、腫瘍の大半は外科的切除不能である。ステージIIIのNSCLCは、局所的にどの程度がんが拡がっているかによって定義される3つのサブカテゴリー(III A、III BおよびIII C)に分類される。がんが体のほかの部位に拡がっている(転移している)ステージIVとは異なり、ステージIIIの患者の大半に対しては根治を目的とした治療が行われる。
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富士フイルムホールディングス コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
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