富士フイルム/国立がん研究センターとMRI画像から神経膠腫の疑いのある領域を精密に抽出するAI技術を共同開発(2024.2.28)
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区)と国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区)は、MRI画像から神経膠腫(グリオーマ)の疑いのある領域を精密に抽出するAI技術を共同で開発した。本技術により、希少がんである神経膠腫の治療前の画像評価の精度向上が期待できる。
本技術は、富士フイルムのAI技術開発支援サービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」を活用して開発したAI技術であり、今後、富士フイルムは、本サービスを活用して開発したAI技術の初めての社会実装に向けて、本技術を搭載した製品の早期市場導入を目指す。
神経膠腫は悪性の脳腫瘍の一つである。がん全体の中では患者数が少ない希少がんの一つであると同時に、原発性悪性脳腫瘍の中では最も多い、臨床的に重要な腫瘍である。神経膠腫が大きくなると脳の機能が影響を受け、頭痛、吐き気、運動機能や言語機能の障害など、さまざまな症状が起こる。現在、神経膠腫の治療では、治療前に実施するMRI検査にて画像を評価した後、手足の動きや言語などの機能を温存しつつ手術で腫瘍を最大限摘出し、放射線治療や化学療法を行うことが一般的である。近年、がんなどの腫瘍の観察には、MRI画像から腫瘍領域を抽出し体積を計測するAI技術の活用が進んでいるが、患者数が少なく臨床データの数が限られている神経膠腫に特化したAI技術は無く、神経膠腫の領域や大きさを精確に把握することが難しいという課題があった。
今回、富士フイルムと国立がん研究センターは、国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野の小林 和馬 研究員および浜本 隆二 分野長、同中央病院・脳脊髄腫瘍科の高橋 雅道 医長、同中央病院・放射線診断科の三宅 基隆 医長らを中心としたチームのもと、MRI画像から神経膠腫の疑いのある領域を精密に抽出するAI技術を開発した。本技術は、富士フイルムの「SYNAPSE Creative Space」により、頭部MRI画像から神経膠腫の領域を抽出するアノテーション作業を効率的に行い作成したデータをAIに学習させて開発したものである。MRI画像から神経膠腫の疑いのある領域を精密に抽出し、抽出した領域の体積を計測できる。本技術により、神経膠腫の治療前の画像評価を、より高い精度で行えることで、将来的に、早期発見や診断の精度向上、放射線治療や手術などの治療計画の最適化などに役立つことが期待できる。
問い合わせ=富士フイルム メディカルシステム事業部
TEL:03-6271-3561