島津製作所/恒例のレントゲン祭─リアル開催(2024.2.20)
島津製作所は、毎年ヴィルヘルム・レントゲン博士の命日に博士の功績を称え遺徳を偲ぶ「レントゲン祭」と記念講演会を、2月9日、本社(京都・中京区)にて開催した。今回は101回目で、4年振りのリアル開催となる。
冒頭、医用機器事業部長の園木清人氏は式辞を述べた後、同社の最新トピックスを紹介。「高齢化、QOL向上への期待、医療費増大、人手不足への対応が迫られているが、当社はAI、自動化技術で貢献していく。最近のトピックスでは、AI技術支援による錐体骨折の画像検出における半自動化技術や、アルツハイマー型認知症患者に対する少量血液からのアミロイドベータの早期検出技術や蓄積の画像化技術がある」
続いて、山本靖則社長が祭詞を読み上げ、レントゲン博士の功績に敬意を表して献花を行った。
その後、ドイツにあるレントゲン博物館のツアー映像が紹介され、同館館長がレントゲン博士と本邦のⅩ線技術のパイオニア村岡範為馳博士との親交も交えⅩ線発見から研究、応用、将来展望を解説。
記念講演会は、中本裕士氏(京大・画像診断学 核医学教授)による「はじまりはレントゲンから」。同氏は講演の中で、これからの放射線画像診断のAI利用における課題について「機械学習では判断の過程がブラックボックスであり、判断根拠が明確に示されず突拍子もない結果が含まれる可能性があること、導入後に事後学習次第で承認時の性能を下回る可能性があること、診断支援であっても最終診断が生じた時に誰が責任を負うのか明確ではないこと―日本では医師というが米国ではAI制作者という考えもある―があるが、いずれにせよ人間の舵取りが重要である」と訴え、最後に放射線診療を用いたより良い医療を目指すには「ハード面の進歩とソフト面の研鑽が必要」と締めた。