アマゾンウェブサービスジャパン/医療におけるクラウドの有用性を強く訴える
世界的規模のクラウドサービスを展開する「アマゾンウェブサービス(AWS)」。同社の国際モダンホスピタルショウへの出展は今回が初めて。今回は、そのスペースの約半分を自社とコラボレーションするベンダーのPRにあて、残りの半分で自社クラウドのメリットを訴求した。
●医療でクラウドを活用するメリットとは
医療機関の多くは「機密性の高い医療情報を“外に持ち出すこと”」にいまだ不安を持っている現状だ。AWSは、その不安に配慮しつつも、これからの医療にはクラウドを医療情報のプラットフォームとして活用し、さまざまなサービスを共創していくことが重要であるという提案だ。
医療の現場では、診療記録や検査結果、画像など、さまざまなデータが日々収集、生成され、そのデータの利活用が次のよりよい医療につながるサイクルとなっている。
しかし、こうしたデータを十分に活用するには、保存、管理するための大容量ストレージ、分析のため高い計算能力を持つコンピューター、万一のトラブルに備えたバックアップの仕組み、セキュリティ対策などが求められる。
これらをオンプレミス環境で実現するには、物理的にもコスト的にも困難であり、また、よりよい医療実現のためには、できるだけ多くのデータが必要であるという視点からも、クラウドにアドバンテージがあるいうのがAWSの主張だ。
さらに「AIによる画像診断支援」「HPCを使った創薬シミュレーション」「ブロックチェーン技術を利用した大量トランザクションの処理」など、AWSだからこそ活用が視野に入る各種サービスも大きなメリットとなるのは自明だ。
●俊敏性、コストでもオンプレミスに比べ優位に
一方、AWSのニーズに応じた俊敏性や、コスト面での優位性も見逃せない。ハードウェアの調達と設置、システムの開発とインストールなど、立ち上げにコストと時間がかかるオンプレミスに比べ、AWSは“ほしいときにほしいだけ”のITリソースをオンラインで入手できる。
さらにAWSでは「使わないときは稼働を止める」「必要になったらサーバーを増やす」といった、オンプレミスでは不可能な弾力的な運用にも対応するため、無駄なコストを省くことができるのだ。
またAWSはクラウドへの不安に対し「AWSにとってクラウドのセキュリティは最優先事項である」と宣言する。その信頼性は2021年、デジタル庁がセキュリティや業務継続性など350項目のチェックポイントを満たす日本政府の共通クラウド「ガバメントクラウド」に選ばれたこと、「医療情報ガイドライン(総務省・経産省統合版)」に対応していることからも明らかだ。
今回の出展では、すでにAWSを活用している医療機関、研究機関などの紹介も行われた。AWSの医療分野での活用は、今後さらに広がりそうだ。