浜松医科大学附属病院 /木村通男教授が退官を記念しての最終講義を行う
浜松医科大学附属病院は3月24日、同月末で医療情報部長を退官する木村通男教授の退官記念最終講義を開催した。なお、木村氏は、医療情報学領域で大きな足跡を残したことで著名。同講義は、オンライン参加も可能なハイブリッド形式での開催となった。講義のタイトルは「たねあかし」。
講義では、浜松医科大学における数学の入学試験が何故独特な内容になるのかに始まり、木村氏が浜松医科大学附属病院で構築した様々な医療情報システムの構築や運用について、また、SS-MIXなどの標準化に関する取り組みなどについての“たねあかし”が語られた。
また、木村氏は、ネットワークにおけるセキュリティ問題について「外部からの脅威よりもむしろ、内部の脅威が問題。USBメモリの利用など、院内でニーズのある使用法を禁止すると、必ず隠れたところでそれが使用され、より大きな穴として被害を招くことになる」と述べ、同院内では可能な限りユーザーにとってシステムを使いやすい環境にしながら、情報漏洩を防いでいることを説明。
さらに、昨今のAIブームについては「昨年のRSNA(北米放射線学会)でもAIの発表は減少している。米国FDAも日本のPMDAも、“最終的な責任は使用した医師”ということにしたため、“人間に代わる診断”を実現するのは、まだ難しいのではないか」と述べる一方、「25年前のブームと同様、その後、画像認識、音声認識、自動言語処理などの技術が進歩して、今、花開いてるように、現在のブームを生き抜いた技術が将来、さらに進化を遂げるのではないか」と今後への期待を語った。最後に関係諸氏への感謝の言葉を述べて講演を締めくくった。