JIRA年頭所感発表会/新型コロナの影響続く下で、DⅩ拡大等を目指す
一般社団法人 日本画像医療システム工業会(JIRA)は、1月6日、恒例のJIRA山本章夫会長(富士フイルムヘルスケア代表取締役社長)による年頭所感発表会をKKRホテル東京(千代田区)で開催した。
山本会長は、まず2021年を振り返って次のように述べた。「昨年は、一昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、特にサプライチェーンへの影響は今でも続いている。半導体等の部材の不足、物流のひっ迫、価格高騰の問題は大きい。ただ、良い面もあった。アナログからデジタル活用の動きが加速し、デジタル庁の発足もあり、今後の日本におけるデジタル化の進展が期待されるところだ」
次いで、2021年の活動方針で重点4項目として掲げた①DⅩの拡大、②医療従事者の業務効率向上への貢献、③感染防止対策の啓発、④会員企業の環境変化に伴う共通課題への支援、および国際展開におけるトピックスを紹介。①と②については、その現況と課題をつぎのように説明。「次世代医療基盤法のもとで、医療画像データの利活用は未だ実現していない。また、AMED事業において6学会で数億枚の画像が収集されているものの、こちらも研究用途に制限され産業界での利活用は実現されていない。JIRAとしては、医用画像の利活用促進を目指し関係省庁と意見交換を重ね、JIRA作成の『画像医療システムにおける匿名化技術ガイド』の活用を提言している。
また、プログラム医療機器等に関しては、イノベーションの適切な評価、そして予見性の向上について中医協で意見陳述等の活動をしたことにより、12月22日の中医協総会でプログラム医療機器の評価の方向性が示された。さらに、AMEDにおいても、人工知能等を活用した医療機器プログラムの薬事規制の在り方研究の分担研究班メンバーとして、医療機器の設計・製造に用いるAIの取り扱いや、市販後学習で変化し得るSaMDのIDATEN申請時の要件等について、より良い制度とするため意見提案を行った」
なお、国際展開のトピックスとして「インド、インドネシア、中国等、医療機器の公共調達において自国製品を優先する国があり、JIRAは各国が自国製品と海外製品を平等に扱うように要望してきている。一方、ベトナムでは、中古の医療機器輸入が禁止されてきたが、DITTAの活動においてIEC規格に基づき適切に整備された医療機器の輸入禁止を解除するようベトナム行政に要望した結果、2022年の法改正で輸入禁止の解除の準備が進められているところだ。同国の医療の底上げに貢献するはずだ」と述べた。
最後に「2022年にあたって」として、山本会長はつぎのように抱負を述べた。「2021年の活動を1つひとつ前進させていく。DⅩの拡大、医療従事者の業務効率向上への貢献については、データ利活用環境の整備、プログラム医療機器等の診療報酬、規制対応面に対する環境整備をする。これらは、いわば当工業にとっては虎の子的な事項でもある。会員企業の環境変化に伴う共通課題への支援については、薬機法改正3年目施行におけるUDI表示の環境整備、サイバーセキュリティガイドライン23年施行に向けた会員企業への支援、新入社員等への業界入門研修、教育機会の提供等がある。また国際展開については、IMDRFへの規制の国際整合推進を提言していく」そして、最後に「画像医療システム産業の健全な発展と課題解決に向け会員企業と行政・医療団体や学会、産官学のハブとして活動していく」とまとめた。
なお、1月6日現在のJIRA会員企業は、213社と報告された。