バリアン メディカル システムズ/Intelligent Cancer Care
放射線治療関連機器・システムの総合メーカーであるバリアン メディカル システムズは、2021年3月に薬機法承認を得たばかりの適応放射線治療ソリューション「ETHOS」を出展。また、昨年販売が開始された小線源治療装置「BRAVOS」、新機能を追加した放射線治療計画用ソフトウェア「Eclipse」、情報システム「ARIA」等も展示され、同社のシームレスな放射線治療の在り方を来場者に説明していた。
●【新製品】適応放射線治療ソリューション「ETHOS」
適応放射線治療は、日々変化する患者の解剖学的特徴や、腫瘍の位置や形状変化に合わせて最適化することで放射線治療計画を再計画する手法で、近年注目を集めている治療法である。しかし、同治療法は放射線治療スタッフの業務負荷が大きく、再計画に時間がかかるなど、実用的とは言い難かった。今回出展された適応放射線治療ソリューション「ETHOS」は、AI技術を活用した治療計画作成機能とコンツーリング機能でこれらの業務負担を代替し、予め定義されたテンプレートで、医師が治療目標を定義し、この定義に基づき治療計画を作成。実際の治療に際しては、患者の解剖学的特徴や腫瘍の形状、臓器位置の変化に適応するように治療計画を修正し、患者を治療台に載せたまま適応放射線治療を実施することができる。が実現する。
同ソリューションは2019年のASTRO(北米放射線腫瘍学会)ですでに発表されており、世界で21台が稼働中。臨床データでは、「ETHOS」による適応放射線治療は10~15分程度で実施することができ、高い有用性を示している。同社では、今後国内での普及を推進したいとしている。
●【新製品】情報システム「ARIA」
情報システム「ARIA Oncology Information System」は、治療用リニアックや治療計画用ソフトウェア「Eclipse」等、がん治療に関わる一連の情報を統合管理するシステム。ITEMでは、DBを共有しているので、リニアック上のコンソールや治療計画用ソフトウェア「Eclipse」画面上で「ARIA」の情報を確認することができる。また、放射線治療に関するさまざまなプロセスを「ARIA」上で表示。放射線治療に携わるスタッフ間で業務フロー内容を確認することで、スタッフ間のコミュニケーションの円滑化や、作業手順の共有化を実現している。
情報システム「ARIA」
●【新機能追加】放射線治療計画用ソフトウェア「Eclipse」
放射線治療計画用ソフトウェアでは、新バージョンの「Eclipse 16.1」が出展された。IMRT/VMATにおける最適化の計算が従来の2分の1から3分の1程度に短縮することが可能なGPUを搭載するなど、処理速度の高速化により、従来以上に質の高い治療計画の作成を可能としているほか、以前のバージョンから搭載されている最適化プロセス「Multi – Criteria Optimization(MCO)」の機能を強化。線量制約のバランスを画面上のスライドバーでリアルタイムに調整が可能で、加えてチェックボックスに入力するだけでシステムが線量制約を自動計算する機能が複雑な治療計画を迅速かつ効率的に作成可能となっている。
放射線治療計画用ソフトウェア「Eclipse 16.1」
●【新製品】小線源治療装置「BRAVOS」
2020年9月に承認された小線源治療装置「BRAVOS」をITEMで初出展した。同装置は、海外では2年以上前に既に上梓されており、40施設以上で稼働中である。「BRAVO」の大きな特徴は、「CamScale」と呼ばれる精度管理用のツールを搭載している点。これまでほぼ手作業で行っていた照射位置の確認をほぼ自動で行うことができ、QA業務を大幅に効率化している。また、位置がずれていた場合も、メーカーの作業員を呼ぶことなく、現場の医療スタッフ自身で簡便に調整することができ、診療に与える影響を最小限に抑えることができる。
さらに「BRAVO」は、治療計画用ソフトウェア「Eclipse」上で外照射用のリニアック等と併せて管理することができ、管理業務についても効率化が図られている。
小線源治療装置「BRAVOS」