富士フイルム/3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」向けアプリケーション「脳解析」ソフトウェア 新発売
富士フイルムは、AI技術※1を活用して頭部CT画像から、周辺組織と比較して高信号および低信号領域※2を強調表示する画像診断支援機能を搭載した「脳解析」ソフトウェアを、開発した。一般的に高信号および低信号領域は脳卒中診断の際に脳の出血状態や虚血領域の評価に活用されている。本ソフトウェアを、当社の3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」のアプリケーションとして富士フイルムメディカルを通じて2021年5月に発売する。
<今回発売する「脳解析」ソフトウェアの特徴>
(1)高信号領域・低信号領域の強調表示
頭部CT画像の高信号および低信号領域に色をつけて強調し表示する。これらは脳内の出血領域や虚血範囲の評価に用いられ、頭部CT画像診断の支援に繋がることが期待される。
(2)梗塞領域を定量化するASPECTS※3の算出
脳梗塞における血管内治療(静注血栓溶解法)の適用可否の判断には、虚血領域の広がりを定量化するスコア法である「ASPECTS」が用いられる。ASPECTSは、10区域に分けた中大脳動脈領域の各区域の虚血の有無や広がりを評価し、減点方式でスコア化する方法である。通常、医師が頭の中で中大脳動脈領域を区分けして虚血領域の広がりを診るが、本機能は、中大脳動脈領域を自動で10区域に分割し色分けして表示するとともに、低信号領域の強調表示結果をスコアリングすることで、医師のASPECTS算出を支援する。※4
脳梗塞の場合、CT検査に加えてMRIでより詳細な検査を行い、治療方針を決定することがある。「SYNAPSE VINCENT」は、脳組織や血液中に含まれる水分子の拡散度合いを解析し、脳梗塞が疑われる領域の評価を行う「ADCマップ」ソフトウェアや、CTやMRI画像から血流の状態を解析して血流量や血液量を算出する「パフュージョン」ソフトウェアを提供しており、今回発売する「脳解析」ソフトウェアと組み合わせて使用することで、脳卒中の画像診断ワークフローに活用できる機能を一貫して操作することができ、効率的な診断ワークフローを実現する。
<3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」について>
SYNAPSE VINCENTは当社の画像認識技術を生かして、CTやMRIなどの断層画像から高精度な3D画像を描出し解析する3D画像解析システム。医療画像を立体的に可視化することで、画像診断や手術シミュレーションなどに活用できる。2020年8月から提供している新バージョンでは、AI技術※1を活用して開発した各種解析機能を提供している。さらに、当社のPACS「SYNAPSE」やAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」などの各システムとシームレスに連携し、効率的な診断ワークフローをサポートしている。
※1 AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に用いた。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。
※2 CTは身体を通過したX線量の差を画像化する。X線の透過しにくい(高吸収)領域は高信号領域と定義され、一般的に画像上では周りと比べて白っぽく写る。また、X線の透過しやすい(低吸収)領域は、低信号領域と定義され、一般的に画像上では周りと比べて黒っぽく写る。
※3 Alberta Stroke Program Early CT Scoreの略で、Early CT sign(早期虚血サイン)を定量化したスコア法。
※4 本機能によって強調表示された領域や算出されたスコアは医師が必要に応じて修正することができる。
問い合わせ先=富士フイルムメディカル 営業本部 マーケティング部
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