キヤノン/X 線イメージセンサーの新技術“Built-in AEC Assistance”を開発
キヤノンは、同一X 線イメージセンサー面の素子を用いて、画像を生成すると同時に、照射されたX 線に相当する画素値※1 をリアルタイムに検知し、あらかじめ設定した基準値と比較、通知することが可能な新技術“Built-in AEC※2 Assistance”を開発した。
X 線を用いて撮影を行う医療現場においては、「人体へのX 線の照射は社会的・経済的要因を考慮しながら、できるだけ少なくするよう努力すべき」という放射線防護の基本的な考え方である「ALARA※3 の原則」に基づき、さまざまな取り組みが行われている。例えば、X 線撮影システムでの撮影に際しては、一般的にX 線発生装置から被写体に対して過度にX 線が照射されないよう管理するため、照射されたX 線に相当する電流を検知する外付けデバイスが使用されている。しかし、DR(Digital Radiography)方式※ 4 のX 線撮影装置などをシステムの撮影台から取り外してワイヤレスで撮影を行う場合など、外付けデバイスが使用できないケースがある。
今回、キヤノンは、長年にわたり培ってきたX 線センサー技術とイメージング技術を生かし、従来、外付けデバイスが担っていた機能を撮影装置に内蔵させることができる新技術“Built-inAEC Assistance”を開発した。新技術では、X 線イメージセンサー内の電気信号の高速読み出しや各種アルゴリズムによる画素値補正を可能にすることで、同一センサー面の素子を用いて、画像を生成すると同時に、照射されたX 線に相当する画素値をリアルタイムに検知する。さらに、基準値をあらかじめ設定しておくことで、画素値が基準値に到達した時点でX 線発生装置へ通知することができるため、専用の外付けデバイスを使用することなく、X 線発生装置側でX 線照射の自動停止が可能になる。
キヤノンは今後この技術をX 線デジタル撮影装置「CXDI」シリーズに搭載していくことで、病院内における回診撮影を含む幅広い撮影シーンに対応できるよう製品開発を進めていく。
※1 X 線が蛍光体で可視光に変換された後、イメージセンサーで光電変換され読み出されたデジタル値。
※2 Automatic Exposure Control(自動露出制御)の略。
※3 As Low As Reasonably Achievable の略。1977 年に国際放射線防護委員会により勧告された考え方。
※4 X線を蛍光体部分で可視光に変え、その光をイメージセンサーでデジタル画像化する方式。
問い合わせ先=キヤノン 広報部
TEL:03-5732-8246